cinemaで逃避

蜘蛛の瞳/修羅の狼 蜘蛛の瞳のcinemaで逃避のレビュー・感想・評価

4.1
終わった男の再生の物語

蛇の道では
脚本高橋洋の意図なのか
キレイに構成されている
一方で本作は
脚本も黒沢清なので
より感覚的でザラついています

個人的には
全部が腑に落ちる映画より
よく分からないけど
何かを持って帰れる映画が好きなので
本作の方が好きでした

にしても
ダンカン、寺島進、大杉漣が出てて
説明が削ぎ落とされた編集
シュールな台詞まわし
男に振り回される幸薄な女性
高ぶりの無いソリッドな暴力描写

ほぼ北野映画ですね

自分の意思で岩松を殺し
人間として再生した新島

働く実感のある
肉体労働に勤しむ姿で
彼が自分の足で歩いていると
観客は確信します

白いシーツで覆われた
何かの正体を見据えた彼には
進むべき道は明白なのでしょう
たとえそれが
周りの人間を置き去りにしながらでも