蜘蛛の瞳/修羅の狼 蜘蛛の瞳の作品情報・感想・評価

蜘蛛の瞳/修羅の狼 蜘蛛の瞳1998年製作の映画)

製作国:

上映時間:83分

ジャンル:

3.9

「蜘蛛の瞳/修羅の狼 蜘蛛の瞳」に投稿された感想・評価

堂ノ本

堂ノ本の感想・評価

3.7
脚本が高橋洋から監督自身に変わることで、物語から解放され、やりたいようにやった感がある。

前作では広い空間が多く、奥に抜けた構図が印象的だったが、今作は森といったある種、鬱々とした空間でのベルトルッチ的手法が光る。てかあのシーンはそのまま暗殺の森だよね。

ただ全体として北野武リスペクトが強すぎて、オマージュってより模倣としか思えない所が多々あった。
さとう

さとうの感想・評価

4.0
プログラムピクチャーらしい感じで前作とほとんど設定は引き続き。空っぽの部屋、空っぽの人々、ラングや小津の世界。ペキンパー好きだっていうのに、ゴダールみたいに発砲し続けんのなぜ?
ずっ~と、観たかった黒沢清監督のVシネマ作品の一本。 
VHS(大映ビデオ)をレンタルして、鑑賞。 
あの『勝手にしやがれシリーズ』に続いて、哀川翔が主演。 

新島(哀川翔)が娘を殺した男(寺島進)に復讐する場面から始まる。 
そんな新島に「仕事」を一緒にしないか、と持ちかける岩松(ダンカン)が出てきたあたりから物語は進展を見せる。 

印象的なシーンは、多々あったが、やはり黒沢清監督らしく段ボール殴打が迫力(笑) 
→この「段ボールを使う理由」は、黒沢清監督の著書に詳細記載あり。 

また、ロングショットもやたら多かった。 

しかし、物語としては、前作『修羅の極道 蛇の道』と比べてしまうと、内容がスカスカな感じであった。 
(物語の詳細を書くと幾らでも書けるが、長くなるので詳細は省略する。) 

物語というより、映像を楽しむ作品だった気がする。
りえ

りえの感想・評価

3.8
前作に引き続き面白い。この映画の独特な間がすきだ。哀川翔の虚無感もすごくいい。ソナチネに確かに似てる。
俺は蛇の道のが好きだけどこっちもやばいな。お気に入りは逃げる女に石を投げつけて殺すシーン。
netfilms

netfilmsの感想・評価

4.3
 椅子に羽交い締めにされ、ガムテープでぐるぐる巻きにされた男(寺島進)の姿。『勝手にしやがれ!! 英雄計画』のクライマックスのようなやる側とやられる側の構図。新島直巳(哀川翔)は6年前、娘を誘拐され無惨にも殺された。彼はその復讐を果たそうとしていた。右手にボールペンを取った男の「人違い」の文字。妻の紀子(中村久美)には仕事が残業だと嘘を付き、新島は復讐を完結させた。だが生きる目的を失い、ただ淡々とした自堕落な日々を送っていた新島はそんな矢先、同級生だった岩松(ダンカン)に再会する。岩松インターナショナルの会長になったかつての友人に誘われるままにバイト感覚で転職した新島は、ビジネスとして殺しを行っていく。ある日、新島は組織の上部・依田(大杉漣)に岩松の監視を命令される。岩松を裏切る自分に嫌悪感を抱きながらも、依田に説得され監視を続ける新島。やがて岩松が暴力団・金政会の会長と接触していることが発覚する。岩松が仕事にかなりのストレスを感じていることを知った新島はカタギになってやり直すことを進めるが、岩松はなかなかその踏ん切りがつかない。その事を隠した報告書を依田は信用し、新島は組織の真のボス・日沼(菅田俊)と会い、そこで金政会の会長を殺すように命令される。

 本来ならば『復讐』シリーズの最終話になっていた物語で、主人公は著しく主体性を欠いている。『蛇の道』では自らの復讐計画のために宮下を巧みに操りながら、最終的には娘を殺した人物たちを皆殺しにしたが、今作では逆に抜け殻のようになった新島が、周りの人間に言われるがままに殺しに手を染めていく。前作は新島がなぜ宮下を助けるのかという部分にミステリーが宿ったが、今作は寺島進を殺める描写をラストではなく、導入部分に持って来ている。彼を拉致し、椅子に縛り、口を塞ぎ、コミュニケーションの手段は筆談だけという状態で監禁し、最後には銃弾で殺める(死んだかどうかは問題ではない)。『勝手にしやがれ!!』シリーズ同様に、ここでもダンボールによるワンカットの暴力性が露わになる。役者の生理に対し、決定的なワンカットを映すために、黒沢はあえて軽いダンボールを凶器として用いるのである。中盤にはまるでキアロスタミの俯瞰ショットのように、かなりの高所にフィックスされたカメラが哀川翔と菅田俊のあまりにもバカバカしい追いかけっこを長回しで据える。16mmから35mmに転写されたフィルムは粒子の粗い映像となり、滑稽な人間の動きを更に面白おかしくコミカルに伝える。後半、死んだ娘の幽霊を妻が見るところは、『降霊』の原型と言っても過言ではない。心底ナンセンスな不条理劇は、抱いた女を躊躇なく殺める残虐さをもって提示される。獲物は決して釣れることはなく、妻と引き換えに生きがいを見つけた男の眼前には再び狂った日常が提示される。
なんじゃこりゃ。前作を観た人への挑戦とでもいうのか、ひどく混乱させられた。しかも2本撮り。いろんな意味で、恐ろしい映画。

ある種の既視感があって、散々言及されてるけど、パクチャヌクとか、みーんな黒沢清に影響受けてるんだと実感。

菅田俊が良い。
面白ええええ!!!!!!!
これの一応前作(?)にあたる蛇の道は胃がキリキリとなるようなサイコものだったが、今回はだいぶテイストが違う。

まず思いの外爆笑した。
特に釣りのシーンは素晴らしいですね。
「魚絶滅したんじゃねえの?」ってもう最高of最高!
事務所でスケートやフリスビーやるあたりは少しソナチネを思い出したり。あとこの事務所で遊ぶ感じはジョニートーにも影響を与えているのか?
胡散臭い大杉漣、化石大好きなボスとか人物造形もいちいち素敵だ。

この映画は哀川翔の心の旅なのかもしれない。
自分の喪失感、虚無感を埋めるため殺人業を始める。
なのにその中の裏切りや陰謀に巻き込まれ、結局は全てを失う。
しかもラストで、、、、という。

主人公の夫婦はCUREを彷彿とさせるけれど、個人的に前半はまだあの夫婦にも救いの余地があったと思う。
誘拐され殺された娘の記憶は暗い部屋の中に閉じ込めて、騙し騙しではあるが仲睦まじく暮らしているという体裁を保っていたのに過ぎないということは映画を見終わったあと思い返せばわかるが。

でもやっぱり蛇の道と違うのは、この映画は「ホラー」ではなく「悲劇」の要素が強い点。
主人公の新島は不条理な出来事に突然巻き込まれて以来心に巨大な穴が開いてしまうわけだが、そんな彼には同情の余地がある。
蛇の道にはひたすら新島の凍った目線を恐れることしかできない。
ここは一番の違いだと思う。

そう、この映画は確かに怖いしバイオレントだしやりきれないんだけど、登場人物が全員魅力的。
だからとても引き込まれる。
黒澤作品の中でもかなり上位に入るくらい好き。
長回しが良い。
車から語りかけてくる大杉漣。階段から落ちてくる赤いフリスビー。追い詰められて右往左往する諏訪太郎。奇妙な音楽と森の追いかけっこ。
三角窓

三角窓の感想・評価

5.0
くだらなさと、だらしなさと、どーしようもなさと、緊張感と、ギャグセンスと、殺伐と、虚無が、渾然一体で美しいカオスを構築。

ダンカンのキレ具合。
ダンボールを踏みつぶします。
グラスを並べて置きます。
「おれたちみたいだなあ」と言います。
化石堀りのジジイと追いかけっこ。
虚無の塊『哀川翔』。
子供の幽霊の描き方も好きなんだけど、ただの白い布の存在感が素晴らしく恐ろしいです。
大杉蓮の死に方。

なにもない、と、いうこと。
残されたものは喪失の黒い穴だけであった。
虚しさに向かって輪のように無限に拡がる喪失と回りの世界。
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