うめはる

蜘蛛の瞳/修羅の狼 蜘蛛の瞳のうめはるのレビュー・感想・評価

5.0
天才やね。



初めて見た感想は「つまらない、シネフィルが好きそうだな」だった。しかし、時間が経つにつれてこの映画の面白さ、凄さに実感が湧いてくるわけ。復讐ものとして始まるこの映画は開始5分あたりで復讐が終わる。まずそこで「え?」と思うわけだけど、ここからが凄い。復讐を終えた人間の虚無に過ごす日常を描くのだけど、その日常には主人公以外の人物の運動とダンカンの抑えられない暴力衝動が虚無と緊張を生み、この映画のほとんどがその虚無と緊張の間に観客を貶めることで保っている。おかしい。
本当に大嫌いなタイプのタラタラした映画のはずなのに全く飽きる気配がない。この虚無と緊張が張り詰める画面はなぜここまで自分の気を引けるのか…。それは物語の終盤に訪れるであろう死を常に匂わせるからなのだろう。案の定、終盤になると死が訪れるのだがそこに外連味は無く、ただ乾ききった暴力の連鎖が続いていく。凄く怖い、しかし常に感じていた虚無と緊張から、それらの暴力によって解放されるような気分になった。その体験は主人公と自分が繋がった証であるように思えた。
カタルシスによる繋がりを持てたってことは、自分もどこかで暴力に飢えているのかもなーなんて思ったりしてね〜。
あと娘怖すぎ。

オワリ。
うめはる

うめはる