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サウダーヂのobutanのレビュー・感想・評価

サウダーヂ(2011年製作の映画)
4.2
こんなまちに夢なんかない。

つまらない仕事に、文化のかけらもない会話、足を引っ張り合う昔の友達に、現状で十分満足できそうな今の仲間たち。今以上を望むやつは、どうしていつも選挙の話しかしなくなるのか。移民の人たちはいつだって私たちより辛い境遇に置かれているように見えるけど、私たちよりもずっと強い仲間に囲まれているように見えて、悔しい。シャッターだらけの商店街を外れた路地裏に、少しだけ残る歓楽街。酒とエロスだけが、どんな場所でも最後まで残っているのなら、人間に必要なのは本当はそれだけなんじゃないのか。

息苦しくて、面白くない。だけど、どこかに本当の私の居場所がある気がする。桃源郷がきっとある…!

明日も変わらない毎日が待ってると一瞬でわかるような。何も詰まってない地方都市で鬱屈としていた人たちの群像劇。

抗うためにあがこうとしても、行き着く先は実りなき暴力か諦念か。

それでもこんなまちに希望があるとすれば、土を掘るときだけは溢れ出る人間としてのエネルギー。掘って掘って、掘りまくれば、歴史としての縦にも、グローバルな空間としての横(下?)にもこの場所が続いているってわかる瞬間がくるのかもしれない。

マジで平成日本の空洞化を象徴する大傑作!
未来の歴史の教科書で使ってくれ!
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