Yoshiki

サウダーヂのYoshikiのレビュー・感想・評価

サウダーヂ(2011年製作の映画)
4.7
 去年一回観て、二回目の鑑賞。二回目のほうが面白く感じた。それは一回目観たとき、物語のストーリーを追うことに意識が集中していたからだと思う。この映画って一つの明確なストーリーを楽しむものではなくて、登場人物たちの言動の滑稽さや映画から漂う時代の閉塞感の表現など、細部から全体の大きな空気感を楽しむというか味わうものだと思う。だから二回目はそうした映画だと半ば無意識にスタンスを構えていたのでそんな長く感じなかったし没入できた。
 この映画ほどこの社会はクソだ(宮台氏がよく言ってる)ということを味わえる映画はないんじゃないかと思う。社会を突き付けられる感じ。一人では動かしようもできない漠然と大きいもの。そこで搾取し続けられる無力な個人。そこに救いはない。仕事がないく、落ち込んでるせいじに対して選挙活動の仕事で私が支えるよとか言ってる(あの声のウザさいいね)奥さんに日輪水を頭にかけて、日輪水がいっぱい並んだ部屋からででいくとこ。全部がウソ。こえ~。
 クソだからこそ抱く人それぞれのサウダージ。この映画のおかげでサウダージって言葉の意味を知りましたよ。それまではポルノグラフティの『サウダージ』としか思ってなかった(笑)。サウダージを抱くことは映画に出てくるような地方都市の人たちだけじゃなく皆が抱く。だからこの映画のような状況にいなくても全然入りこめるし普遍的なことを描いていると思う。サウダージっていうことだけを考えると、だけど。
 単純に楽しむってものじゃないけど、今の時代の空気感を嗅げる唯一無二な映画じゃないかな。
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