Kana

ユナイテッド93のKanaのレビュー・感想・評価

ユナイテッド93(2006年製作の映画)
4.0
9.11でハイジャックされた4機の飛行機のうち、一機だけ目的地に到着せずに墜落した機があって、その機内の様子を描いた映画。
このまま死ぬくらいならと立ち上がる男たち。助かったらこの仕事を辞めると誓いながら最善を尽くそうとする乗務員たち。備え付けの電話で愛する者たちに最後のメッセージを残す乗客たち、、、
結末がわかっていながらも、お願いだから、どうかどうかうまくいってくれと願うのをやめられない。希望を失わず、立ち向かっていく姿に祈らずにいられない。

たまたま乗り合わせた飛行機がハイジャックされて、もうすぐ墜落しそう。想いを伝えたい相手はきっと、家族、恋人、友人、沢山いるけど全員にはかけられない。苦渋の決断の上かけた相手にも、伝えられる時間が限られている。
そんな状況下、皆が口を揃えて、泣きながら「I just want to say I love you」と。もうその言葉に全てが込められているんだと思った。けど、伝えたい思いの何百分の1にも足りないくらいなんだろうとも思った。
人は、何気ない平和な毎日の中で、大切な人たちに自分の気持ちをちゃんと伝える必要がある。難しいことだけど、別れの言葉も言えないまま永遠の別れが訪れることがあるんだと、これをみて思った。

地上の大混乱もリアルで、やるせなかった。情報の錯綜、スムーズにいかない伝達、"上層部"の判断。全てが終わってから悔やんだって遅い。

戦争もそう、このテロもそう、自然災害もそう。忘れてはいけない事実だからこそ、こういう映画がずっと在り続けてほしいし、私たちは忘れずにいないといけないと思った。

2018 No.106
Kana

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