9.11に関する客観的な事実や感想に関しては「映画」に関してのレビューから逸れるので割愛。映画それ自体としては「もし自分がその場に居合わせたら」と考えざるを得ない演出が素晴らしかった。そして映画の長さも短いけれども、この緊張感を保つにあたってはそれでも十分で、むしろこれよりも長いものを作ったらそれが途切れてしまうであろうからこれで丁度良いと思った。映画によっては客観的な事実に関して当時の状況などの忠実な説明が入るけれども、この映画に関してはそうした情報があまり無い。尤もそれはかなり良いことで、事前に予期していなかった事態に遭遇したらどう感じるのかと鑑賞するものに考えさせる。それにしてもこの映画に関しては既に我々がその出来事の大筋を知っているだけあって、レビューが非常に難しい。映画それ自体よりもそれ以外のファクターを無視できない。個人的には9.11に関する映画は未だに少ないなと思う。それだけセンシティブな題材であろうし、多くの人間に影響を与えかねないからだろうか。いずれにせよ、当事者とは言えない我々の多くにとって、客観的データ以外にも我々が知らなければいけないことがあったと思った。『追記』高校生の当時にこれを観た。もう10年近く前になるが当時も同じ心境でこの映画を観ていた。どの世代の人間が観ても同じ気持ちを抱くのではないか。
