ともち

ハウルの動く城のともちのレビュー・感想・評価

ハウルの動く城(2004年製作の映画)
3.9
『カリオストロの城』
『天空の城ラピュタ』
『ハウルの動く城』
を宮崎駿の城3部作と勝手に銘打ち一日で一気見、の3作目。
前二作の後に見ると、特異な作品だなと改めて気づかされる。
この作品冒頭から、どこか暗い。画面、音楽含めてである。
全然、冒険のワクワク感が微塵もない笑
冒頭のハウルの空中散歩シーンは背景とあまり合っていなく感じる。しかも唐突に追われ、唐突に終わるあっけなさ。
ソフィーが老婆になってから、曲調が一変し明るくなる。老婆の主人公を魅せる冒頭は、面白いが中盤は流れが至極ゆっくりである。
ラピュタから18年、宮崎さんも当時63歳。自身の老いと闘いながら、老いに作品で迫ったまさに老成の作品という感じがする。そのテーマはポニョにも引き継がれる。

ハウルの動く城は、特徴的な造形の城が動く楽しさにあふれているが、あまり物語に関わってこない笑
城を利用した上下動のアクションシーンにあふれていたカリオストロやラピュタとは、全く違う。
むしろこの城は単なる生活の場であり、掃除の対象であり、ついている砲塔もハリボテで火をふくことも闘いで活躍するこもない。
どこまでも観客ははぐらかされる。
気持ちのよい戦闘シーンはないのだ。
ハウルは闘いに身を投じるが、その闘いは相手も見えず、より現実的に鬱なものとして描かれる。
カリオストロやラピュタと比べると本作はローギアでしばらく行って、最後に一気にトップギアにいくかのような怒涛の展開。
老いから、若さを取り戻す主人公そのままに勢いを増すのは後半。
宮崎駿老成の一作。
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