無名のひと

悪魔のいけにえの無名のひとのレビュー・感想・評価

悪魔のいけにえ(1974年製作の映画)
3.0
小さい時に見て、とにかくインパクトの強い映画だった。
レザーフェイスがチェーンソー振り回して追いかけてくるシーンの記憶しかなかったので、改めて見直してみた。

サリー、ジェリー、カーク、パム、車椅子のフランクリンは、ワゴン車でテキサスまで来ていた。
その頃テキサスでは墓荒らしが横行しており、どうやら数年前から複数の墓が荒らされて、その遺体がオブジェのようにして飾られる事件が起こっていた。
サリーたちは、身内の墓が荒らされていないかを調べ、無事を確認する。
帰り道で、乗せたヒッチハイカーが、屠殺に異常な執着を見せる変質者で、身の危険を感じたサリーたちはその男を車から下ろすことで難を逃れた。
その後、立ち寄ったガソリンスタンドでは給油が出来ず、近くの家にガソリンを分けてもらおうと足をむけると、そこは人の皮を被った(文字通り)殺人鬼のいる家だった。

家に踏み込んで、カークとパムがあっさり殺される。特別にグロテスクなことはない。パムが、フックにぶら下げられるところがショッキングといえばそうかもしれない。
カークとパムが夕方になっても行方が知れないと、ジェリーが探しに行ってあっさり撲殺。
夜になり、残されたサリーとフランクリンが探しに行くも、レザーフェイスのチェーンソーでフランクリン瞬殺。
結構簡単に死ぬ。
でも、サリーは逃げる。とにかく逃げる。逃げるのに、ずっと「ギャーーーーー!!!」と叫びながら逃げる。せっかくの闇夜、そんなに叫んだら居場所ばればれやん、と突っ込まざるを得なかった。
サリー役の女優さん、本当にずっと叫んでる。喉大丈夫かと心配するくらい。
このレザーフェイス、皮を剥ぐのがうまいのか肉を削ぐのがうまいのか、被ってる皮が結構薄い。それがぺらぺらしてレザーフェイスの顔が見えるか見えないかという瞬間があるのがまた不気味だった。
ガソリンスタンドの男が父親、ヒッチハイカーが兄、レザーフェイスが弟と、マジキチ一家だった。
兄曰く父親はただの料理人であるらしい。本人も「俺は殺しを楽しめない」とか言う。そのくせ、縛り上げてズタ袋に入れたサリーを箒でつんつん楽しそうでしたけど。
2階に干からびた男女が腰かけて座っており、ひとりは「じいさま」と呼ばれて1階に下ろされる。
サリーの指先をナイフで切り、血が滴った指先をじいさまの口にズボッ!ち、ちゅうちゅう吸ってる、生きてるーーーー!!
現役の頃は世界一の屠殺の名人だったらしく、よぼよぼのじいさまにハンマーを握らせてサリーを殺させようとするんだけど、ハンマー全然握れない。最早、握らせようとして手から滑り落ちたハンマーがサリーの後頭部を直撃して傷つけているようでシュールな一幕。
2階の様子は、「サイコ」を彷彿とさせた。
後半のサリーの叫びは、とにかくアップ。
顔がアップ、もっとアップで目元だけを写す。
綺麗な緑色の瞳が見開かれて、結膜の血管までしっかり見える。
彼女のなりふり構わない恐怖が、見ている私にも恐ろしかった。
結局逃げ出したサリーを追った兄は車に轢かれて死に、サリーは車に助けられてレザーフェイスの手から逃れられる。
その頃のサリーはキャリーなみに血塗れで、安全だと分かったからか最後は笑っていた。あれは発狂していたのかもしれない。
サリーを逃したレザーフェイスは、チェーンソーを振り回してぐるぐると回るシーンで終幕。
このラストシーンが、ずっと私の記憶に残っていたものだった。

思っていたよりも全くスプラッタ要素はなく、突然現れたレザーフェイスにびっくりするシーンが一度あるくらい。
この映画の怖さは、結局最後までレザーフェイスが何者なのかがはっきりしない点にあると思う。
何故あの一家があんなにおかしく歪んでしまったのか。人を殺して回る理由も分からない。
被害者は何も分からないまま、問答無用に突き落とされるわけで、その怖さは若干共通しているように思った。
ちょいちょいシュールなシーンもあって、そこも面白かった。
ヅラ被ってメイクして、ディナーにはおめかしのレザーフェイスにはニッコリ。

個人的には、「テキサスチェーンソービギニング」の方が好き。
レザーフェイスより、ホイト保安官がやばい。
あのキチッぷりをまた見たくなってきた。
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