Shimazaaki

ハート・オブ・ダークネス/コッポラの黙示録のShimazaakiのレビュー・感想・評価

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「最悪なのはうぬぼれだ、何かすばらしいものにあこがれ、やり遂げていない映画はクソだ、カスだ。」

芸術家として映画制作に全力を尽くす姿勢、尊敬する。『ゴットファーザー』に満足することがない姿勢。『地獄の黙示録』のために、資産を使い果たし、家、車も抵当に入れて、破産することを厭わない姿勢。最後の方の撮影で、狂って、気を失うこともあったらしい、、、大量の問題を抱えながらそれを着実に解決して超大作の撮影を追行する姿勢。タフだなって思った。

脚本書いている所とか参考になった。ああやって、色々なアイデアを何枚もの紙に起こして、並べながら書く。

監督とスタッフが精神的狂っていく様子おもろかった。主人公役の役者も心臓麻痺起こすし。マーティンシーンも、本当にただの放送事故。鏡壊すのも脚本にはなく、本物の血が手から流れてたのも全くの計算外。俳優の証言だと、撮影中に大麻、LSD、スピードをスタッフも俳優も常用していたと。狂気の撮影。

途中、『地獄の黙示録』だとカットされちゃった、プランテーションに住んでいるフランス人家族が出てくる撮影あったけど、このシーンは、未公開らしい。特別完全版にはこのシーン有り、なので特別完全版観ます。

ハートオブダークネスは、そのまま『闇の奥』の原題なんだけど、『闇の奥』のことと『闇の奥』に関するコッポラのこだわりも触れてた。
「小説『闇の奥』は、かつて誰も映画化できなかった、オーソンウェルズが試みたがダメだった、リチャードブルックスもだめだった。」

以下、wikiによると、

コッポラは映画化にあたり、『闇の奥』以外にもさまざまな作品をモチーフにした。映画中でT・S・エリオットの『荒地』や『うつろな人間たち』の一節が引用されていたり、ジェームズ・フレイザーの『金枝篇』から「王殺し」や「犠牲牛の供儀」のシーンが採用 されるなど、黙示録的・神話的イメージが描かれている。
コッポラは撮影フィルム編集の合間、三島由紀夫の『豊饒の海』四部作を読み続けた。

らしい。まああと、ギリシャ神話の話もこのドキュメンタリーに出てきていた。勉強家だな、本当。

コッポラがずっと「この作品の意味が全くわからない」って言ってたのも印象的で、実際、このレベルの多層的な文脈を含む映画撮ってるとそうなるしかない。テーマがでかすぎる。テーマは、「人間」でしょ。
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