"笑い"と"恐怖"は一見全く異なる、対とも言える存在であると思われるが、その本質の根底となる《緊張と緩和》は殆ど同じだと感じる。
今作では緊張と緩和、その両方が経年劣化し伸びきった輪ゴムの様に"いつ切れるかわからないレベルで"ピンと貼られているので、緊張がダラダラとその姿をまざまざと見せつけながら続き、かつ大事な場面で気持ちの緩みや緩急つけたストーリー展開が出来ていないので、とにかくダラダラと進行していく物語はとにかくつまらない。
肝心のラストや意外性もあったものではない。
理不尽で不条理かつ暴力的な点は『ファニーゲーム』のような映画的に怪作やはたまた傑作として化ける性質を持っているものの、そのテイストを全く活かしきれていないのはただ残念。
何もない『パージ』を観ているかの様だった。
事実は小説よりも奇なりとは言ったものの、この事実は小説よりもつまらない。
もうちょっと映画的なエッセンスを加えて脚色したほうが良かったのでは。
せっかくのリヴタイラーが勿体無く感じる。
