このレビューはネタバレを含みます
2022.59 *146
些細な言い争いだったはずが、大事へ発展し、残酷な仇討を迎えてしまう。
殺陣
○VS主馬
・決闘の数日前から風が吹く
・斬殺音あり、それに少し遅れてうめき声
・殺陣はかなりリアルぽい
タイミングを入念に打ち合わせた舞、というより、絶対斬られたくない…!っていう恐怖がひしひし伝わる。
○ラスト仇討
・クローズアップにより、汗や感情が伝わる。
・斬る音がかり大きい、流れ出る血、返り血
・最後、空を見上げるPOV
・死に物狂い、とか、気迫、という言葉を体現したような殺陣。
スターだって叫ぶし、こけるし、怖い。さしあたって斬られたくないから、とりあえず可能性にかけて闇雲に刀を振り回す。
脚本
・時系列が複雑
・刃引きをした刀、最後のなぶり殺しの構図、ラストが切腹で終わる、あれだけのことがあったのに何もなかったように日常に戻る感じ
…などが、『切腹』(おなじく橋本忍脚本)に通じる?
その他
・事なかれ主義がやがて大きなもめ事に発展してしまうこともある。気をつけよう。
・おだやかな気持ちで仇討へむかう
↓
仇討が見世物のようになっていてうろたえる
↓
観客に非難され、石をぶつけられ、つい振り返る(ここの表情と声よ)
↓
仇討の時が刻一刻と近づく恐怖を抑えながら準備を進める
↓
助太刀が7人ぐらいやってくるという絶望。(こちらは辰之助におとなしく討たれるつもりで、あらかじめ刀を刃引きしている)
この感情の推移の表現がすごい。さすがとしか。
追い詰められていく時の中村錦之助の演技はすごい。
東映
製作 大川博
脚本 橋本忍
撮影 中尾駿一郎
美術 鈴木孝俊
音楽 黛一郎
編集 宮本信太郎
擬斗 足立伶二郎