すとんこ

刑事物語のすとんこのレビュー・感想・評価

刑事物語(1982年製作の映画)
5.0
″インド象が下痢したみたい″な32才独身ブ男の冴えない刑事・片山元(=武田鉄矢)が福岡から″検挙率最低″と言われる静岡県警に転勤、沼津市で頻発する連続女性殺人事件を追うって話☆

トルコ風呂(ソープランド)へのガサ入れの際に知り合った聾唖の女性・ひさ子の身元保証人となった片山さん、若くて美人でスタイルも抜群なひさ子に恋心を抱きつつも、なかなか深い関係になれません。
小さい頃から男に酷い仕打ちをされていたため、男性恐怖症気味なひさ子には時間が必要だと、暖かく見守る片山さん。いじらしいです。

そんな二人の慎ましやかな生活を見ていると、自分の若かりし頃の新婚生活を思い出して、なんとも懐かしいやら切ないやらくすぐったい感覚を思い出してしまいます。

おままごとのような生活をしながら、売春に関わる殺人事件を追うことになる片山さん。

いまいち頼りなげな片山さんですが、実は腕っ節は滅法強くて、中国拳法の″蟷螂拳″の使い手!(バーチャファイター2のリオンと一緒)
そして本作のハイライトはなんといっても″ハンガーヌンチャク″でしょう。
およそ武器とは思えない木製のハンガーで、チンピラどもをスコンスコン殴り倒す様は爽快&エキサイティング!!
幼少時に兄貴と一緒に「ハイーっ!!」っと奇声を上げながらハンガーを振り回していた思い出が懐かしい。

片山さんの純な思いとはウラハラに、ひさ子は同じ境遇の聾唖の男・村上(=田中邦衛)を選び、敢えなく撃沈。悲しすぎます。
本作のテーマ曲「唇をかみしめて」が一層切なさを増幅させる効果を発揮し、こちらを泣かせにきます。

こんなに切なくて辛いのに、なんでか好きでたまらない、全然男前でもなくドジで頼り無げなのにカッコイイ!
「こんな不器用でも優しくて強い男になりたい」と子供の頃切に憧れた、そんな記憶がよみがえる一本(* ̄ー ̄)☆



○キャスト○
片山元/武田鉄矢
三沢ひさ子/有賀久代
九鬼刑事課長/仲谷昇
藤堂一課係長/小林昭二
田沢刑事/三上真一郎
沢木刑事/岡本富士太
田中補導係/梅津栄
矢代スミ刑事課庶務/樹木希林
工藤卓/花沢徳衛
スナックの女/室井滋
秋吉一人(クリーニング会社社長)/草薙幸二郎
花子(刑事課)/藤枝亜弥
姫子(トルコ嬢)/宇田川智子
種井(詐欺師)/西田敏行
三上英次/高倉健
村上努/田中邦衛
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