なこ

ブルーバレンタインのなこのレビュー・感想・評価

ブルーバレンタイン(2010年製作の映画)
4.0
何事にもタイミングってあると思う。一緒に住んでいる恋人とこの頃ケンカばかり、今夜もまたケンカだろうなーなんて思いながら彼の帰りを待つ時間にこの映画。なんて選択をしてしまったのだろう!こんなに同じ温度で感じることのできる映画に出会ったのははじめてかもしれない。

かつて確かに愛し合っていたのにどうして冷めるなんてことがあるのだろう。なにか決定的な事件があるわけでなくゆるやかに破綻に向かうディーンとシンディ。二人の気持ちが離れていく過程がとてもわかりやすくそしてリアルに描かれていて、どちらも責めることができない、そのどうしようもなさには途方にくれるしかない。喧嘩すら噛み合っていないのだもの。
こんな風に別れてしまう夫婦やカップルはきっとたくさんいるのだろうな〜。好きな人を好きでなくなるのってすごくすごく辛い。

現在のギスギスした二人と、過去のキラキラと幸せそうな二人の姿(ライアンゴスリングの頭頂部の差!)が時系列を崩して交互に描かれるのでその対比が一層苦しくて苦しくて、観るのが辛くてしょうがなく、ラストシーンは嗚咽が止まらなかった。

観たタイミングもあると思うけれど、見事に胸に大きな傷跡を残していってくれた。思い出すだけで胸が締め付けられる。いま手の中にある大切なものを再発見させてくれるとても素敵な映画だと思う。
なこ

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