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江戸最後の日のCHEAPGUYのレビュー・感想・評価

江戸最後の日(1941年製作の映画)
3.0
本作が作られたのが1941年、即ち日米開戦の年であることから製作陣が込めたメッセージは自ずと明らかだろう。
司馬遼太郎の影響で坂本龍馬ばかりがクローズアップされがちだが、当時の真の英雄は勝海舟と西郷隆盛。この両雄が同時期に現れたことが日本にとっての奇跡。腰抜けと罵られようと江戸100万の民の命と国家の独立のために命を懸けた勝海舟の姿は当時の人の目にはどう映ったか。
本作のひとつの工夫は西郷隆盛をセリフの中でしか登場させなかったこと。誰が演じても小さくならざるを得ない西郷隆盛のスケールの大きさをこれによって演出することに成功している。
こういった古い歴史物を観るときに注目すべきはかつらの見事さである。人それぞれにスタイルが異なり、且つ当時の流行(月代が極端に狭い)をも反映させている(今の映画で使われるちょんまげのかつらはワンパターンであり且つ年齢に関係なく毛量が多過ぎ)。特殊映像技術の進歩に反比例して映像は軽くなりリアリティは薄れている。
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