Rita

アメリカの影のRitaのレビュー・感想・評価

アメリカの影(1959年製作の映画)
4.1
葛藤に苦悩する人間模様。

マンハッタンに暮らす、三人の兄妹には黒人の血が流れている。彼らが白人社会の中で、それぞれに肌の色からくる疎外を感じながらも、三人三様の道を求めて生きる姿を描いている。

ジョン・カサヴィテス監督のデビュー作。劇中のラストに「即興的演出で撮影している」とあり驚いた。チャールズ・ミンガスの即興演奏のジャズも最高だった。役者の名前をそのまま使ってるのも良い。

アメリカでの若者のリアルな日常が撮しだされている。人種差別の問題も絡んでいるけど、トニーのように黒人を嫌う人が身近にいたら、愛してると言っていた人が一瞬にして私の心を引き裂いてしまうこと。

肌の色がそれぞれ違う兄妹が経験する日常。レイラとダンスに行ったデイビー、そこまで悪い人ではないと思うけど、女性はこうであるべきという男性の固定概念やレイラの登場した初めの辺りの場面で夜の帰り道、男性に襲われる場面も女性蔑視というか"女"だからっていう感じがする。

ジョン・カサヴィテス監督の作品は初鑑賞なのですが愛について触れている作品の雰囲気がとても良かった。日常的なくだらない会話もずっと聞いていたくなるような面白さで愛おしいとも思える。

レイラが煙草は吸わないと言っていたけれど、心が傷ついたことを機に吸ってるシーンとかかっこいい。朝、兄妹3人がベッドで横たわり話すシーンが凄くいい。家族が一緒にいるときの安心感みたいなものが感じられて落ち着く。登場人物たちの出来事の捉え方や思考が好きですべてにおいて心に響く映画でした。
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