やっぱりカルカン

鍵泥棒のメソッドのやっぱりカルカンのレビュー・感想・評価

鍵泥棒のメソッド(2012年製作の映画)
4.0
評価が高いとの噂でテレビ放送を楽しみにしていました。約2時間の映画なのですが、面白すぎて見終わった後いい意味でたっぷり3〜4時間ぐらいの作品を見たような満足感がありました。個人的にはストーリー・テンポ・映像・音楽・キャスト、何もかもが好きな映画でした!

私は子供の頃に「キテレツ大百科」が好きで、30分なのに1時間ぐらいに感じたのですがその感覚に似ています。没入感があると言えばいいのでしょうか。最初から最後までとても惹き込まれる作品でした。

今までは香川照之さんが個人的に少し苦手というか演技がちょっと暑苦しいと思っていたのですが、この作品の香川照之さんは可愛らしくてとっても素敵な役だったので思わず好きになってしまいました。
まず登場人物のキャラクター設定が神がかっています。写真の一枚から猫一匹に至るまで細かい設定も後から全部活きてきます。
はじめに広末涼子さんが編集長の雑誌編集部からシーンが始まって、ボロアパートに住む売れない役者の堺雅人さん、伝説の殺し屋コンドウ役の香川照之さんの3人が交錯していく過程も自然で絶妙なバランスなのが素晴らしい!
私は「入れ替わる」というキーワードだけ知ってて見たのですが「そっちかい!!」(そういう意味かい!!)と思い序盤で笑ってしまいました。

映画全体が面白くてもラストで「?」となる場合がたまにありますが、この映画は最後の1秒まで視聴者をにっこりさせるステキなオチだったのが嬉しかったです。
犯罪映画に分類される場合もあるみたいですが、ほっこりコメディとも言える映画にも思えます。

初めて見る方はぜひなんの前情報もない状態でいきなり見ることをオススメします!
無駄なシーンが全くないのでちょっとよそ見してると伏線が分からなくなってしまうと思います。何回も見たい映画なのですが、ちょっと内容を忘れたぐらいが面白いと思うので次は3〜5年後ぐらいにまた見たいですね。

この映画は手書きの文字が重要な演出のポイントとなっています。詳しいエピソードをクロックワークス公式Twitterより引用します。
>コンドウと香苗の文字は、監督がキャラクターに合う代筆者を選んでいる。コンドウの文字は、書道歴35年、2008年に日本書道学会に所属した韓国出身の洪明均さんが担当。コンドウがノートに文字を書くシーンは随所にあるため、撮影が行われる度に洪さんも登場。テスト用にも文字をぎっしりと書く必要もあり、筆圧が強いしっかりとした文字でもあるため、腱鞘炎になりそうと洪さんも笑うほどの重労働になった。桜井の文字は、遺書を書くシーンは堺さん本人の文字。その他はその文字を真似てスタッフが書いていった。

堺雅人さんの字の可愛さは一部で有名ですが、そんな裏話があったとは!これから見る方はぜひ3人の「文字」にご注目ください(^ω^)