「運命じゃない人」で、いまどき珍しい、派手さのない、脚本の面白さで映画を作れることを証明した内田けんじの4作目。
監督が信頼されているためか、過去作品と比べてネームバリューのある俳優を使用している。
堺雅人はアクの強いキャラクター(濃すぎて好きになれないが)、香川は上手いしコミカル系でも笑わせる。私の嫌いな広末も、ちょっと変ったキャラのアラサーで、初めていいんじゃない?と思わせる演技で、それぞれ良い仕事をしている。
前半は笑わせるところも多いし、話の展開も小気味いいのだが、コンドウが記憶を取り戻してからが現実的でないところも、ストーリーとして意外性がないというところも感じてしまい、良い話で終わらせすぎちゃっているのが物足りない。
名のある俳優を使うとこういうことになってしまうのかもしれないが、この人の脚本は「運命じゃない人」のささくれ感のほうが似合うし、もう少し生活感を表現したほうがいいように思う。