正月には寅さんシリーズが観たくなる。本作はシリーズの中でも名作と言われることに頷ける。リリーさんというマドンナは唯一無二だし、男が女を幸せにするという考え方への批判はフェミニズム的で、このシリーズの弱点をカバーしているように思う。
ロードムービー的な前半は楽しいし、やはりメロンの場面の一連の流れは素晴らしいし、リリーが寅さんへのプロポーズを冗談だと言って立ち去る場面は、切なくてグッとくる。
楽しい場の空気や人間関係は、ちょっとしたことで崩壊するが、そのうちまた再生するという楽観的な希望が描かれている。新年の始めに観るのにふさわしい傑作。