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父親たちの星条旗のpikoのレビュー・感想・評価

父親たちの星条旗(2006年製作の映画)
3.7
イーストウッドは常に俯瞰で物事を見ている。硫黄島決戦を日米両視点から撮ったことも、客観性の現れである。今作品はアメリカ側から見た太平洋戦争であるが、決してアメリカを称賛している訳ではない。むしろ英雄を無理矢理作ったアメリカの歴史を批判している。だからといって日本を良しとしている訳でもなく、絶妙な立ち位置で映画が作り上げられている。また冒頭の硫黄島上陸は見事な戦争シーンであって、日本兵の姿形を映さず銃器だけを見せる演出は、より敵兵(日本兵)を不気味に見せ、恐怖を煽ることに成功している。戦争の悲惨さを戦争シーンではなく、戦後の英雄視された3人の苦悩によって表した作品となっていて、ディアハンター等も思い出させる。若干クールに描きすぎている感も否めないが、面白かった。流石イーストウッド。
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