ゴート

夏の庭 The Friendsのゴートのレビュー・感想・評価

夏の庭 The Friends(1994年製作の映画)
4.3
いつだったか、夏休みがまるまる冒険だった時期がある。
たぶん、小学校3、4年生の頃だ。

あの頃は、家の外に一歩でれば、そこには友達の気配があり、彼らと一緒に出歩くだけで、なにか特別なことが始まる気がしていた。
想像力ひとつで、なんでも冒険になった。

この作品の、子供達が走り回る動き、発する言葉、カメラの視点、そしてなにより、耳に飛び込んでくる夏特有の音が、その頃の記憶を蘇らせる。

舞台となった老人の家が経年劣化で崩壊し始め、そこからZARDの曲でエンドロールが始まった時、なぜだか胸が締め付けられた。
あの時代の空気と、音楽の記憶が、思いもよらない角度で結びついて、不思議なエモーションに包まれた。
そして、昭和が平成という時代に塗り替えられていくような、そんな時代の節目を見た気がした。

夏の匂いを嗅ぎたくなった。
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