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コン・エアーのRのネタバレレビュー・内容・結末

コン・エアー(1997年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

自宅で。

1997年のアメリカの作品。

監督は「エクスペンダブルズ2」のサイモン・ウェスト。

あらすじ

軍を除隊したキャメロン・ポー(ニコラス・ケイジ「ガンズ・アンド・キラーズ」)は酒場で妻のトリシア(モニカ・ポッター「ラスト・ハウス・オン・ザ ・レフト-鮮血の美学-」)に絡む酔っ払いと揉め、誤ってそのうちの1人を殺してしまう。軍の経歴が災いし、第1級殺人罪で刑務所に服役することになったポーだったが、数十年の服役の中で、模範囚として仮釈放されることになり、「コン・エアー(囚人輸送)」機「監獄鳥」に搭乗し、家族の元に帰れることになる。だが、共に輸送される予定のサイラス・グリサム(ジョン・マルコヴィッチ「シャタード 美しき罠」)をはじめとした凶悪犯たちが謀反を起こし、脱獄を企てたことで、ポーは彼らを食い止めるため、戦いを挑むことになる!!果たしてポーは無事妻と成長した娘の元に帰れるのか。

今作、存在自体は知ってはいたんだけど、なんだかんだ観る機会がなく、この度ディズニープラスにて無作為に選んで当たったので「じゃあ…観るかぁ…。」と惰性で観始めたんだけど…結論から言うと「はい!ニコケイ主演作のベスト決定しました!」という感じでとにかく最高にアガる作品でした!!

お話はあらすじの通り、まぁ90年代から〜0年代にかけて量産された大味アクションの系譜なんだけど、とにかく設定が良い。

ニコケイ演じる主人公ポーは軍人なんだけど、ようやく軍を退役して愛する奥さん(めっちゃいい女!)と再会したと思ったら「へへへ…いい女じゃねーか!」と酔っ払いに絡まれて謝ってその酔っ払いを殺してしまう。で、軍の経歴のせいで刑務所に投獄されてしまう、そりゃねーよ。

ただ、このポーここで腐らずに清く正しく模範的に刑務所でも過ごすのが偉い。また、離れ離れとなった奥さんトリシアとも手紙のやりとりでお互いの近況をナレーションベースで語らうんだけど、そのうちに身籠っていたトリシアに娘ちゃんが生まれて、その娘ちゃんと今度は手紙のやりとりをしていくんだけど、そのやりとりがまさにお父さんと娘さーん!という感じで、ものすごく娘ちゃんに会うのを楽しみにしていることがわかる丁寧なシーンの描写とせっせせっせと微笑ましく手紙を書くポーの姿を含めてここで、もうめちゃくちゃ感情移入しちゃう。

で、模範囚として仮釈放されることになるんだけど、同じ房に入ったベイビー・オー(ミケルティ・ウィリアムソン「クリーン ある殺し屋の献身」)とも友情を築き、お互い自由になる喜びを分かち合ったり、他の房の囚人たちとも「元気でやれよ!」「おめでとう!(は言ってなかったかも笑)」と声をかけられながら出所するなどいいやつ感は高まる!

ただ幸せは長くは続かない!「コン・エアー」の飛行機「監獄鳥」で輸送されることになったのが運の尽き。実はその飛行機はポーと共に搭乗した凶悪犯たちの謀反により、ポーはハイジャックに巻き込まれてしまう!!

で、この凶悪犯たちの面子がめっちゃキャラ濃くて、いちいち個性的!!ジョン・マルコヴィッチ演じる主犯格、通称「猛毒」サイラスはマルコヴィッチが演じているとあって、かなり悪知恵の働くまさに悪役!って感じだし、他にも元ブラック・ゲリラ・ファミリーで、服役中に「ダイアモンドの目」という小説を執筆し、2年後にデンゼル主演で映画化もされる予定という無駄設定あり笑の、あの「M:IP」シリーズのルーサー役でお馴染みヴィング・レイムス(「ウェンデルとワイルド」)演じるダイアモンド・ドッグ、浮気した妻とその家族を皆殺しにして、挙句に犬まで殺した大量殺人犯クレイジー・ビリー(ニック・チンランド「デンジャラス・プラン 裏切りの国境線」)、連続強姦魔で、犯した女性1人につき、1つずつハートのタトゥーを体に刻み込むという漫画のドクズキャラみたいな性癖を持つ、個性派ダニー・トレホ(「VETERAN ヴェテラン リベンジ」)演じる、その名もジョニー・23、凶悪犯ではないものの謀反の火種を起こすピンボール(デイヴ・シャペル)などなど錚々たる面子!!

これだけで飯が何倍もいける感じで解説シーンが入るたびにいちいちテンションがぶち上がるんだけど、今作が面白いのはそれだけで終わらないところ!その後まんまとハイジャックを成功させ、パイロットと女護送官以外を皆殺しにして、凶悪犯たちによる修学旅行的などんちゃん騒ぎで一同が向かったのは第二の刑務所があるカーソンシティ。どうやら、そこでも凶悪犯を護送する予定だったらしく、というわけでそこでも個性豊かな凶悪犯たちがわんこそば的におかわりで加入してくる笑!!

そこでは田舎育ちの独特口調でお間抜けな印象が拭えないながらも、パイロットとしての腕前で運転担当として存在感を発揮するスワンプ・シング(M・C・ゲイニー「ラプンツェル あたらしい冒険」)、作中ではコメディリリーフでオネエなサリー=キャント・ダンス(レノリー・サンチャゴ「デイライト」)などが出てくるんだけど、中でも絶大なインパクトで満を辞して搭乗するのが名優スティーヴ・ブシェミ(「バケーション・フレンズ2」)演じるガーランド・グリーン。犯した罪としてはアメリカ東部において、なんと37人もの人間を惨殺し、殺した少女を助手席に乗せてドライブしたという逸話もある、サイラスを超える伝説的な犯罪者なんだけど、登場シーンがめちゃくちゃインパクトがあって、超凶悪犯だからだと思うんだけど、口に拘束具をつけて、全身ぐるぐる巻きで拘束されたまま搭乗する姿はまんまレクター博士やんけ!!マジでパクリをパクりとも思わない潔さとそのせいで観客爆笑なのに演じるブシェミも周囲も「おぉ、こいつがあの伝説の…」とカリスマ雰囲気抜群で登場するシュールさのギャップがたまらなく面白すぎるwwしかも、乗り込んだ後、まんまとこのガーランドも自由になるんだけど、あんだけ異様な登場だったのに、見た目は白の囚人服に横分けの清潔感があるサイコって感じでそこもレクター博士っぺー!!ブシェミの怪演もあって、独特のカリスマ性と存在感も発揮しているんだけど、劇中ではサイラスのグループにもポーたちにも加担せず、時折皮肉めいた言葉でポーに語りかけるミステリアスなキャラクターとして中立ポジで立ち回っていく。

で、そんな伝説的な犯罪者ガーランドも搭乗することになるカーソンシティパートなんだけど、ここでポーと協力関係=相棒となっていくのがジョン・キューザック(「レッドライン 奪還」)演じる連邦捜査官ラーキン。「監獄鳥」乗っ取り計画をいち早く気付き、ポーに協力を要請する有能捜査官なんだけど、このラーキンの登場によって、一気にアクション要素が加速する中盤。

ここではフライト間近で、ラーキンが事前にサイラスが投獄中に残した暗号を解読したこともあって、異変を察知した警察連中と凶悪犯たちによる、広大な砂漠を舞台にした戦争映画さながらの大戦争が巻き起こるんだけど、その中でもラーキンが成金無能捜査官のマロイ(「ピクシー 復讐の女神/ピクシー 復讐と逃亡」)の愛車シボレー・コルベットに乗り込んでティアドロップのグラサン姿で砂漠を爆走する無駄にかっちょいいドライブシーンがあったり(その後、監獄鳥のフライトに巻き込まれてマロイの前で盛大に大破するギャグシーンも笑った)、親友ベイビー・オーが元々糖尿病でインスリンを注射しないと死んでしまうため、1人争いの真っ只中、サイラスに気づかれないように救急箱を探すポーによるタイムリミットサスペンス要素があったりと見応え抜群!!

ただ、そこではまだサイラスには薄々怪しまれながらもなんとかベイビー・オーにもインスリン注射できて、事なきを得るんだけど、カーソンを発ってからの機内でサイラスに気づかれちゃって、争いが勃発、もみくちゃになったせいで正常な運転ができなくなり、不時着することになったのは、なんとカジノシティ、ラスベガス!!

まさに花の都なラスベガスど真ん中に盛大に不時着したあと、事態に駆けつけたハシゴ車をまたも乗っ取り、逃亡を図るサイラスを追って、合流したラーキンと共にポーが大捕物を繰り広げるクライマックスはまさにアクション感極まれり!!

ネオンギンギラギンのベガスでド派手に突っ爆走するハシゴ車の上で行われるポーとサイラスの戦い!最後は看板に盛大に突っ込んでお互い吹っ飛ばされるんだけど、爆発で髪振り乱したポーがなんだか不思議と嬉しそうな顔で吹っ飛んでいくショットは笑っちゃったし、サイラスはサイラスで最期は吹っ飛んだ先の工事現場の釘打ち機に巻き込まれて頭部を潰されて死亡という残虐エンド!!最後は戦いを決したポーによる札束舞う中でのキラキラフィニッシュともうなんか…味濃すぎて胃もたれしそう笑。

ただ、ラストは最後になるまで一緒に行動することはなかったはずなのに決着がついた後「信じられるやつが3人になった」とラーキンを「相棒」と認めるポーのシーンだったり、ずっとハラハラしっぱなしだったベイビー・オーや娘ちゃんに渡す予定の大事なうさぎの人形の安否確認もできて、その上でようやく長年夢見た娘ちゃんとの待望の出会いからの遂に言える「誕生日おめでとう!」

フォーーーー!!最高にカッコいいやんけ!!ニコケイサイコーー!!


そして、ちゃっかり脱走してベガスのカジノを堪能するガーランドでオトすわかってるエンドとまさに往年のアクションのおいしいところをこれでもかと詰め込んだ大満足な作品となっており、その上で後ろ髪伸ばしまくりザビエルニコケイもちゃんと最後はかっこよく見えてくる!!まさに個人的にはニコケイの最高傑作と自信を持って持って断定できる作品でした!!

先日、俳優業は後何作かと明言したニコケイだけど、最近の作品選びは目を見張るものがあるし、いつの時代でもなんだかんだ愛されまくってるニコラス・ケイジの活躍をずっと観ていたいと感じられるほどの作品でもありました!おすすめ!!
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