ゆみ

四月物語のゆみのレビュー・感想・評価

四月物語(1998年製作の映画)
4.0
春になると観たくなる映画。
特別ドラマチックなことは特に起こりません。
でも、新しい土地での生活、出会う人との関わり、そんな、有り体な言い方ですが、期待と不安の入り交じった四月の空気が映画から滲み出てて、終始、なんとも言えない懐かしさを感じます。

例えば、特に、自己紹介のくだりに見られる、ちょっとした会話台詞での妙なリアルさや、人物の表情や間から居心地の悪さがしっかり伝わってくるところ、岩井俊二はこういう何気ないシーンが本当に上手いと思います。

そこに、彼特有の漫画的な、ちょっとおかしな登場人物だとか、傘の老人の悪く言えばご都合主義、よく言うと寓話的で浪漫のある展開が、絶妙なバランスで織り混ぜって、
ただのリアルな上京物語ではない、どこかファンタジーにすら感じる、独特な雰囲気が大好きです。
ゆみ

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