ベティー

グリーンマイルのベティーのレビュー・感想・評価

グリーンマイル(1999年製作の映画)
3.8
1930年代のアメリカで死刑囚を収監する刑務所職員が体験した不思議な話。
フランク・ダラポンとスティーブン・キングで刑務所という、ショーシャンクの空にと似た布陣ですが、やっぱり作り方も似てるかな。ちょこちょこっとした話をたくさん入れながら全体のストーリーが進行する感じは楽しい。ちょっとしたひとつひとつのチャプターがおもしろいんだよなあ。

囚人の描き方なんかはこちらのほうがシリアスでみじめで感情的でいいかな。妥当な感じというか。あっちは下手すると楽しそうに見えるので。。

ジョン・コーフィーという黒人の大男がこの話のキーの人物なんですが、イニシャルが表すとおりとてもキリスト教的な話。
死刑執行のやり方とか非常に細かく描かれていて興味深い。死刑=絞首刑のイメージだからなあ。電気ショックは苦しそう。。どっちが楽に死ねるかな。

なによりネズミの使い方がすばらしく、この映画の主役といっても過言ではないな。トム・ハンクス主役だけどわりと無個性な視聴者目線の立ち位置だし。あとは囚人サム・ロックウェル。かなりクレイジーでみごたえあり。よだれが。

現在ではじまり、1930年の話がどんっとあり、ラストに現代に戻ってくるところを、なにかしらのアイテムできれいにつなげて長い時間の流れを感じさせるようなところなんか、技術的な巧みさのようなものを感じる。さすがベテランというところなんでしょうか。。逆にまとまりよすぎてあざとく感じる可能性もなきにしもあらずですが。

ただ、ストーリー全体を考えると、結局なんだったのか、という違和感は感じる。キリスト的なストーリーをなぞった話なのか。ジョンの行動にもすこし違和感を感じるところがあるし。主人公ちょっと受身すぎるっていうのもあるかな。聖書にありがちな、神が人を試したがスルーしたため報いを受けるってことなのか。なんとも解釈しがたい。
すごくおもしろいんだけど不思議と心に残らないという、変わった名作。
ベティー

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