昼行灯

長恨の昼行灯のレビュー・感想・評価

長恨(1926年製作の映画)
3.8
この人はアウトローのヒーローが零落していくのを見せたいんだろう。移動大好きって、カメラの運動のことじゃなくて、ポジションの移動を言ってたのかもしれないと思った。

それくらいカメラ位置が変わる。本編のショットはクロスカッティングと、俯瞰と視点ショットと大河内を中心に据えたショットに分類できるが、それがすごい速さで変わっていく。登場人物たちのアクロバティックさと同じくらいこちらにも感動する。

クロスカッティングが最後に大河内の声で繋がるところが当時は感動を呼ぶ演出だったのだろう。大河内のはっきりとした目鼻立ちが見せる顔芸も鬼気迫るものがある。疲労困憊で意識が朦朧とする大河内の周りを御用提灯が高速回転しているような主観ショットも圧巻。とはいえ戦前の映画を見るとこうもフィルムがないものかと思わずにはいられない…
昼行灯

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