ゴート

断崖のゴートのレビュー・感想・評価

断崖(1941年製作の映画)
3.6
資産家の娘・リナは、無一文のプレイボーイ・ジョニーと結婚。しかし、ジョニーの性格を知るにつれ、彼が保険金目当てで自分を殺そうとしているのでは、という疑念を持ち始める。

最後まで釈然としない映画だった。
ジョニーは明らかにサイコパス。殺人を犯していないにせよ、自分勝手で人を思い通りに操ろうするところは善人とは程遠い。なぜリナは彼を信じ続けようとするのか。「資産家の娘だから世間知らず」という設定だけではやや弱い気がする。

ただ後半、夫を信じるか否かの葛藤だけで最後まで持っていけるのはすごい。
観ている側もほとんどジョニーが黒だと確信しているのに、決定打がない(あるいはリナがまだ信じ続けている)ために、ことの顛末を最後まで見届けてしまう。

警察にジョニーの親友が死んだと知らされ困惑するリナのもとに、ジョニーが帰ってくる。
「ただいま」のセリフの後のジョニーのカット。 真っ黒に塗りつぶされたような影をまとう姿は、結構怖い。
ゴート

ゴート