YutoKishida

オーケストラ!のYutoKishidaのネタバレレビュー・内容・結末

オーケストラ!(2009年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

かつては一流オーケストラの天才指揮者だった中年の劇場清掃員、主人公アンドレイ。ソ連時代の圧政で地位を、好きなものを奪われたアンドレイとそのユダヤ人演奏仲間達。
ある日ボリジョイ劇場に届いたパリからの依頼のFAXを目に止め、ボリジョイ交響楽団として成り済ますことを思いつく。
終盤に至るまでコメディ色が強く、その中でもロシア人の情熱的部分であったり、ソ連の歴史をうかがわせる。が、意識低すぎーって所は多々感じるし、主人公のエゴイズムには観ていてイライラする部分もある。
だとしても、そん部分も全て消し去るのが終盤。この映画の凄いとこだと思う。
「終わりよければ全て良し」とは正にこの事。ソリストに指名したフランスの美人バイオリニストとの因縁が絡む。アンドレイとレイと彼女の関係を通して、謎も明かされつつ、全てが一つになっていく様は圧巻であり、飛躍していくと言ってもいいだろう。僕が特に感じたのはあんな連中もやっぱり音楽は素晴らしさはちゃんと心の中に眠っていたんだ!ってとこだ。
忘れてはならない国家の罪を振り替えやつつ、人間の強さ、自由な心が集まって生まれる至上のハーモニー。コメディ色が強くて助かる部分も多々あったかもですが、それでも最後は本当に素敵でした。


ここからは色々調べたもの。
監督のラデュ・ミヘイレアニュは、1958年生まれのユダヤ系のルーマニア人で、80年(この映画の問題の発端)に、当時のチャウシェスク独裁政権から逃れて亡命、フランスで映画の仕事に就いたという。
この映画のテーマである"人間の自由と尊厳を奪う独裁政治体制への怒り"は正に監督自身こ体験に裏打ちされている。
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