半兵衛

めくらのお市 地獄肌の半兵衛のレビュー・感想・評価

めくらのお市 地獄肌(1969年製作の映画)
3.0
前作と同じくストーリーは古風な時代劇なのにアバンギャルドな演出とシュールな殺陣が何の前触れもなく登場するので困惑するが、でもそんな変な味がクセになってくる一作。

松山容子の主人公は盲目のはずなのに、時折目が見えているような素振りをするのは意図的なのだろうか。そして目が見えない人が見えている人同様に作業する場面で、『座頭市』のように肌で物の場所を探るのではなくただ普通の人同様に作業するという雑さが古きプログラムピクチャーで活躍した監督やスタッフの限界を感じさせた。

それでも松山容子の美貌(演技は古くさいけど)や現代でも通用しそうなビジュアルの松岡きっこの強烈な悪役ぶり、ゲスト出演扱いながらスピーディーな殺陣を披露して圧倒させる近衛十四郎(このとき映画からテレビの世界へ移りお茶の間の人気を博していた)、安定した悪役演技の安部徹といった役者たちの顔ぶれを見ているだけでそれなりに楽しくなってくる。チャンバラもそれなりに迫力あり。

でもラストのゴダールなどといった当時の若手映画作家に対抗しようしようとしてやりすぎてしまった変な殺陣はいらないかな、スローモーションの無駄すぎる使用法。
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