このレビューはネタバレを含みます
毎年バカンスで訪れている島で両親を失い、トラウマを負った少年。「治療には島へ行って原因を探る必要がある」と考えた女性医師らとともに、少年は再び島へと足を踏み入れるがそこには飢えたコモドオオトカゲの群れが待ち受けていた…。
という設定のアニマル・パニック・ホラー映画。このジャンルは大好物なのだが、本作品はかなり微妙な出来栄えになっている。
コモドの出来自体は悪くないものの、直接深手を負わせるシーンは皆無で、襲われた後の大けがを負った人間が出てくるだけ。これではコモドの怖さは伝わらない。唾液が脅威となる点は面白いものの、言及されていたスピードを味わえる場面は特になく、描きこみ不足と言わざるをえない。
そもそも「親を(コモドによって)失った少年がトラウマと向き合う」という設定が良くない。作品に緊張感を与えているわけでなく、むしろ作品のテンポを緩くしている印象さえ受ける。そもそも主治医でないあの医師が少年の治療に躍起になっている事情がよく分からない。他の医師から匙を投げられる描写は絶対必要だし、祖母と叔母(?)が何とか少年の回復に向き合って尽力している様子も欲しいところだ。
他にも
・石油会社の関係者(死ぬ方)が上物の葉巻or煙草を吸おうとして吸えないシーンをもっと何回も丁寧に振るべき
・生物学者が失った妻を思い返したりするシーンがない
・コモド全滅に苦戦しているのに、いくら内密に処理したいとはいえ2人で退治させるのは確実性に欠ける
・生物学者ヘリコプターを奪うシーンなのに、奪われるアイツらから(ヘリに近づこうとするも危険できないなど)必死さを全く感じない
などなど、「もっと色々できただろ」という箇所だらけの映画だった。
個人的には、「石油会社の作業員及び学者等が、島に棲みついた&石油汚染で飢えコモドに襲われる。危害はバカンスで訪れた家族連れにも及んでしまい―。」という設定の方がもっと楽しめたと思う。