ユウジ

サムサッカーのユウジのレビュー・感想・評価

サムサッカー(2005年製作の映画)
3.5
周りとのギャップにフィーチャーされた現代的な青春心理映画。
分かりやすい内容ではあるが、依存、個性が認められない、変わりたいという誰しもが抱えているであろう心理・不条理さを、シンプルで直球に表現されていた、とても難しい意味が含まれた映画。
不思議。ジャンルがわからん…。自分にとっては見たことない部類の映画なのに、身近にありそうなのが余計不思議に感じた。

キアヌ・リーブスの謎キャラが好きだった。まずカッコいい。なんだかんだジャスティンの為を思い親身になってた数少ないキャラだったなぁと。
何だかんだこの映画の名言製造機。

期待しすぎた感は否めないが、良い映画だった。持つ意味をしっかり理解できたという自信はない。

カメラロール、セリフ、曲、センスが凄い良かった。

家族間の会話が、個人に立ち入りすぎてる内容が多く、自分とのギャップが凄くて、中々入り込めなかった。
良い子に育ってほしいという気持ちのもとで子に干渉しすぎて、子を否定して意見を押し付け気味な父親。普通に育って欲しい気持ちのもとで、何しても許してくれる無干渉な母親。自分本位でしかない主人公。兄に付きっきりなせいで寂しさを抱く弟。歪な親子関係に映って見えたが、考えたらそれは一般的な家庭と同じ。人間だれしも依存・障害を抱えている。目につく表面だけが全てではないのよな。

自分も幼少の頃から爪を噛む癖が治らない。きっかけは分からないけど、良くない行動だと注意され続け、治そうと意識をしても無意識の内に行ってしまう。
しかし、何故か人前では行わない。自分が解放されてる時にしか現れない依存。安心できる場所でしか現れない依存。人前で出さないのなら自分だけの時もそう出来るはず。なのに出来ない。外とは見えない壁があり、それを越える事も壊す事も出来ない。ジャスティンもトイレや家で無意識にしゃぶっていて、それを咎められ矯正され理解してくれる人に逃げたのを見ると、その癖も壁もそれら全てが心なのだろうと感じた。
自分と投影出来たり出来なかったり、その揺らぎが心地が良くて気持ち悪かった。

逃げるは負けじゃない。1つの手段。

「欠点を直そうとする人間らしさは終わりのない課題。答えのない人生を生きろ」
凄い響いたセリフなのだが、元も子もないというか無責任というか…。
そのセリフこそが答えになってしまっている気がする。

ジャスティンが主人公なだけに注目されがちだが、皆ジャスティンと似た何かを抱えていて皆生き辛さを感じていたのが真髄なのかもしれない。
見るタイミングによって感じ方が変わるだろうなと思う映画だった。
心の拠り所って必要だよなぁ。。

後半20分。意味がありすぎて苦しくなった。
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