ナナ

イン&アウトのナナのレビュー・感想・評価

イン&アウト(1997年製作の映画)
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アウティングに始まり、“ゲイネタ”の笑いやホモフォビアがこれでもかというほど描かれるので、はっきり言って開始しばらくは悪夢のような展開です。
でも、この映画は主人公が抑圧してきた自分自身を解放し受け入れる話であり、
周囲の人々が、セクシュアリティに関係なく、一人の人の人間性を受け入れる話でもあります。
この二点は現在の“LGBT映画”にも通じる、とても重要なポイントだと思う。
ケヴィン・クラインの、カラッとしたお芝居、あのダンス、町の人々の自分への嫌悪や様々な反応のすべてを黙って見つめる卒業式の場面の演技、素晴らしかった。

ただし、人々は主人公を人として受け入れたけれど、ゲイへの偏見は変わらなかったところもこの映画の特徴をよく表しています。
差別感情を赤裸々に描きながら、現在のLGBTフレンドリーな映画の系譜にも連なる要素を持った、貴重な作品でしょう。コメディとはなにか、笑うとき人はなにを(誰を)笑っているのか、楽しみながらそんなことも考えてほしい映画です。
ナナ

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