スギノイチ

銀蝶渡り鳥のスギノイチのレビュー・感想・評価

銀蝶渡り鳥(1972年製作の映画)
2.5
いきなり画面は刑務所。
梶芽衣子演じるナミという名の主人公といい、嫌でも「女囚さそり」を連想。
さらに女囚達を一瞬で制し、牢ボスとなるOPは「怪談昇り竜」と丸カブり。
これが梶芽衣子の東映初主演作であり、既にその後のイメージの下敷きが出来ている。

しかし、「さそり」「修羅雪姫」「昇り竜」等々、その後の異色すぎる梶主演作と違い、この映画自体はエロもグロも無い結構普通のいぶし銀映画だ。
ぶっちゃけ、何の変哲もない任侠映画の主役を梶芽衣子に取っ替えただけだ。

梅宮辰夫は全然イイ男に見えないし(いつもだが)、渡瀬恒彦もなんか大人しい。
70年代前半、この頃の東映映画は今でも十分刺激的だが、これは悪い意味で古臭い。
クライマックスのビリヤード対決はタルいばかりでやたら長く、全然盛り上がらないし…
(敵ヤクザのシャブ切れ時のサイケ演出には少し「さそり」への系譜を感じたが)
脈絡無く登場した五木ひろしが突如イキ顔で歌いまくる演出も謎。

見所はラストの殴り込み時、無双しまくり血まみれの梶芽衣子の美しさ位かな。
また、着物に黒い傘、情念たっぷりの挿入歌、女囚、復讐等、その後の代表作に受け継がれていく要素は濃厚だから、そういうのを探す2次的な楽しみもある。
完全にファン向け映画って感じ。
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