スギノイチさんの映画レビュー・感想・評価

スギノイチ

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処刑の島(1966年製作の映画)

3.3

手に負えない不良少年たちを幽閉する孤島…『女神の鬼』みたいな設定だな。
そこへ戻ったある男が、支配者となった三國連太郎に復讐する話。
出来の波が激しい篠田正浩だが、これは映像も決まってて異質な迫力があ
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沈黙 SILENCE(1971年製作の映画)

2.9

スコセッシ版もさほど面白くなかったが、こちらも同様。
岩下志麻ら演じる隠れキリシタン夫婦が、地面から頭だけ出した状態で埋められてそこを馬が走る拷問を受けるとこだけ面白かった(『北陸代理戦争』かよ)。
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壁あつき部屋(1956年製作の映画)

3.1

脱獄モノか何かかと思ったら、戦時中の日本軍が行った外国人への加害を告発するような社会派映画だった。
面会所で内田良平らが「戦争責任は政府や財閥のせいか」「いや国民にこそ責任があるのではないか」と言い争
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この広い空のどこかに(1954年製作の映画)

3.0

木下恵介と成瀬巳喜男の中途半端な折衷に見えてしまい世評ほどノれなかったし、佐田啓二と久我美子の美男美女カップルが善良過ぎていちいち嘘くさく思えたが、足が不自由な長女・高峰秀子のふてくされぶりだけは良か>>続きを読む

絶唱(1958年製作の映画)

3.6

若々しいエネルギーではち切れそうな浅丘ルリ子と小林旭が、シネスコ画面いっぱいにこれでもかとイチャつきまくる前半部分。
直視するのが恥ずかしくなるが、これを成立させるほどにこのコンビは眩しい。
これは、
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仲間たち(1964年製作の映画)

3.0

舟木一夫の歌謡映画。
トラックの運転手・浜田光夫と恋人・松原智恵子の明るく健全な青春映画と思いきや、後半につれ浜田光夫が心身を壊してどんどん重くなってくるのは中島丈博脚本のせいか?

「でもも座り込み
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花の恋人たち(1968年製作の映画)

3.0

この女優連が揃ってる女子医大とか眩しすぎるな。
映画としては主要人数が多すぎて持て余しまくってる。
いつも通り、吉永小百合・十朱幸代・和泉雅子・山本陽子の4人体制ぐらいが限界と思われる(それでも山本陽
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嘆きのテレーズ(1952年製作の映画)

3.5

不倫メロドラマから計画殺人へ。
筋書きだけならよくあるサスペンスのようだが、悪女のイメージが強いシモーヌ・シニョレが珍しく被虐的な女を演じているのと、彼女の人生の枷となる夫や意地悪姑のキャラが強すぎて
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街の野獣(1950年製作の映画)

3.7

どうしてわざわざイギリスで撮ってるんだ?と思ったが、ジュールス・ダッシンが赤狩りに遭ってたのか。

野心あふれるリチャード・ウィドマークがイキり散らした挙げ句、悲惨な最後を遂げる話だが、脇役たちが濃い
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過去を逃れて(1947年製作の映画)

3.8

女探しを依頼されたロバート・ミッチャムがメキシコを彷徨う冒頭が好きだ。
映画館の前のカフェでビールを飲み、眠たくなった頃にジェーン・グリアがやってきて目が覚める…
完璧すぎるほどの導入だ。
それに加え
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マーシャル・ロー(1998年製作の映画)

3.1

デンゼル・ワシントンとブルース・ウィリスによる『夜の大捜査線』みたいなのを想像したが、全く違う。
ブルース・ウィリスはアメリカを体現した傲慢な軍人としてデンゼル・ワシントンと対決する役だった。
この対
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プロフェッショナル(1981年製作の映画)

2.9

アフリカ作戦中に組織の裏切りに遭い、囚われたベルモンドが決死の逃避行。
本国へ帰国し、組織への復讐を静かに企てる…

いつも飄々としているベルモンド。
今回はいつになくシリアスな導入なので期待したが、
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ベートーベン(1992年製作の映画)

3.3

初見。犬映画の金字塔らしいが、動物映画をそんなに観ないので、正直存在すら知らなかった。
犬嫌いの父親と犬が織りなすホームコメディ、『平成イヌ物語バウ』みたいだな。
コメディシーンも微笑ましいし、ベート
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ドクター・ドリトル(1998年製作の映画)

3.7

ラブコメも動物映画も、主人公がちょっと性格曲がってるぐらいが丁度良い。
モルモットと犬のキャラが被ってる気もするが、面白かったので良いか。

子供の頃は気づかなかったが、ドリトル夫人を演じるクリステン
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ベイブ/都会へ行く(1998年製作の映画)

3.6

小学校の頃、風邪で学校を休んだときにVHSで観たのが懐かしい。
今見ると前作よりだいぶシビアな展開が多いが、中盤でベイブが割れた金魚鉢から金魚を助けたシーンはジョージ・ミラーらしいなと思った。

この
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ベイブ(1995年製作の映画)

3.5

かわいい動物たちの中にもヒエラルキーがあって、犬や猫が家畜サイドをほんのり見下してるのが残酷。
(牧羊犬は「家畜を見下すことが仕事」)
ボーダー・コリーの子犬たちも結構嫌味だが、圧倒的な愛らしさで中和
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あんのこと(2023年製作の映画)

3.4

実話を基にした悲劇である以上、おそらくバッドエンドは確定していて、少女の悲運をなすすべもなく見続けるしかない…『少女暴行事件 赤い靴』を観ていたときと同じ、薄暗い無力感に襲われた。
(そういえばあの映
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宇宙5000年目の恐怖(1958年製作の映画)

2.8

物質転送装置が放射能汚染された未来に繋がってしまい、夜光タイツ女がやってくる。
タイツ女は全身に皿状の照光器具をつけていて、その光ひとつひとつが周りにちゃんと照り返されるなど微妙に細かい。
また、タイ
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性本能と原爆戦(1962年製作の映画)

3.0

ふざけたタイトルに反して真面目なポスト・アポカリプス。
核戦争勃発後のアメリカを、レイ・ミランド一家がサバイブする。
お気楽なC映画と思ってかかると、なかなかヘビーな展開が続く。
チンピラに輪姦された
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碁盤斬り(2024年製作の映画)

3.0

白石和彌だしキョンキョンも出てるので”傾向時代劇”みたいな話かと思ってたが全然違った。原作の落語があるのね。
草彅剛が武士を演じたらこうなるだろうな、というぐらいで良くも悪くもない。
花街の女帝を演じ
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Cloud クラウド(2024年製作の映画)

3.2

そこまで面白かった訳では無いが、バスの人影・磨りガラス越しのマスク等、黒沢清にしか取れない画が数多くあったのも事実。
菅田将暉というのはなんとなく鼻につく俳優だと思っていたけど、色気があるんだな。
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犯罪都市 PUNISHMENT(2024年製作の映画)

3.2

1作目の緊張感など微塵もなく、今年観たはずの前作の内容ももはや覚えてないが、このシリーズはもうこういうスタイルで行くんだろう。

IT部隊の美人が途中から空気になってたり色々と雑だが、マ・ドンソクが悪
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女子大生の告白 赤い誘惑者(1980年製作の映画)

3.0

加藤彰と寺山修司、難解の累乗。
創作と現実が混ざっていく。いかにも両人の得意パターンだ。
作家(佐竹一男)の能書きキャラがいかにも寺山映画に出てきそう。
老婆殺しからのアングラ演劇の迫力が異様。
意味
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婦人科病棟 やさしくもんで(1981年製作の映画)

3.5

ある入院病室における女たちの悲喜こもごも。
ある種の長屋モノのような様相を呈す。

朝比奈順子や小川亜佐美も良いが、やはり白眉なのは橘雪子。
ブルジョワ婦人のふりをしたストリッパー。
子宮がんでヒモ男
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花弁のしずく(1972年製作の映画)

3.3

田中登のデビュー作。
華道家のマダムである中川梨絵は性嫌悪気味。
そのトラウマが徐々に明かされていくのだが、犬を連れた暴漢に犯されるというもので、犬も強姦に一役買っているのが今では不可能な描写。

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宇能鴻一郎の濡れて学ぶ(1983年製作の映画)

3.0

”ほとんどビョーキ・カンパニー”。実に時代を感じるフレーズ。
初見は性犯罪であるかのように見せて、実は顧客の要望通りのアブノーマルプレイ。
宇能鴻一郎モノらしくわいせつモノローグ主体で進む。
レイプシ
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摩天楼(1949年製作の映画)

4.2

何だかすごい映画だった。
物憂げで生気のないパトリシア・ニールが、ゲイリー・クーパーに出会った瞬間、火のような女になる(出会いの場面、見上げるような立体的な画がまた鮮烈)。
家への誘いを断られるや馬に
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男の闘い(1969年製作の映画)

3.0

下品で荒くれた炭鉱夫たちのカリスマ。
監督はマーティン・リットなので、いつも通りポール・ニューマン主演でも撮れたろうが、007とは正反対のショーン・コネリー像を1969年時点で立脚した点で価値ありか。
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都会の叫び(1948年製作の映画)

3.0

一人は警官、一人はギャングの幼馴染同士。
『汚れた顔の天使』みたいな設定だが、もっと乾いたスタイル。
期待ほどじゃなかったが、若きシェリー・ウィンタースに既にギャングママの香り。

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

3.5

意外と言っちゃなんだが、面白かった。
パートカラーやら時系列いじりやらあるので普通の映画よりは小手先が多いと思うが、これでも近年のノーラン映画ほど鬱陶しい技法優先でなく、最後までしっかり見れた。

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処女が見た(1966年製作の映画)

3.4

尼寺に入った不良少女(安田道代)が美しき尼僧(若尾文子)に惹かれるようになるレズビアン映画…に見せかけて途中から生臭坊主の若山富三郎が大暴れ。
なんだかんだお人好しだった『極悪坊主』のときより遥かに悪
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燃える勇者(1981年製作の映画)

2.8

アフリカ帰りのカンフー青年が悪者と対決!ってまるで少年漫画。
リアル少年漫画の主人公みたいなルックスの真田広之だからこそ成立する。
珍しく千葉真一が出演してない(アクション監督として参加)が、代わりと
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ツイステッド・ナーブ 密室の恐怖実験(1968年製作の映画)

3.0

『サイコ』のエピゴーネンなイギリス映画。
ダウン症のふりをした青年がブルジョワ家庭に忍び込むという悪質な設定。
青年を演じるのはハイウェル・ベネット。『きんぽうげ』で見たときいかにもイギリス俳優な陰湿
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罠にかかったパパとママ(1961年製作の映画)

3.2

ナンシー・マイヤーズの『ファミリー・ゲーム/双子の天使』ってめちゃくちゃオリジナルに忠実だったんだな。
この時期のディズニー実写特有のアニメーションOPが可愛い。
しかも両親役がブライアン・キースとモ
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サンフランシスコ連続殺人鬼(1969年製作の映画)

3.3

実録犯罪映画数多しとはいえ、未解決事件を犯人側から描いたのってあまり記憶にないな。それだけで挑戦的。
犯人をおびき寄せる目的で作られたらしいが実に眉唾で、むしろ観客を煽りに煽るような作り。
日常と殺人
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夜行性情欲魔(1970年製作の映画)

3.5

低劣ポルノかと思いきや実験アート系映画。
ポルノ女優と思しきサーカス女を、ポルノ鑑賞狂いのブルジョワ家庭が見初めて家に招き…という筋書きはポルノそのものだが、時系列・会話・演出ともに何一つこちらの予測
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