フリッツ・ラング監督による、犯罪映画であり、男女のメロドラマであり、逃避行ものの古典となった作品。
とはいえ『暗黒街の弾痕』という邦題には、正直首を傾げざるを得ない。
前科持ちであった主人公が、釈放され、世間の侮蔑の目に晒されながらも、唯一彼を愛した妻と幸せな日々を送ろうとする。
しかし彼は、ほんの偶然から、殺人犯となってしまい、追われる身となってしまった…。
何かを暗示するかのような2匹のカエルの場面、霧の中で神父が倒れるカット、スナイパーライフルのスコープの中に写し出される主人公とヒロインなど、今見ても印象的で鮮烈な演出が多く存在する作品。
『君は自由だ、テイラー』
このセリフには、色々な意味が込められているのだろう。
ヘンリー・フォンダのあの目の演技もあってか、終始物哀しさを感じさせる。
名作とは、こういう映画のことを言うのだろう。