性犯罪のSのレビュー・感想・評価

　冒頭での映画内映画や、望遠レンズに欲望の視線を準えるなど、初期若松映画のなかでもとくにテクニカルなプロットが素晴らしく光っている。セックスにまつわる思弁的な長台詞はおそらく足立正生によるものだろう。ちょい役で出てくるガイラさんも良い、ほんとうに魅力的な映画俳優だとあらためて思う。
　「しゃもじババア」みたいなキャッチーな悪口とか、女性を口説くときに「ちょっとだけだから……ああ、このパンツ邪魔だなあ」などと白々しい声色で言う場面とか、全体的に明るいユーモアの雰囲気があるのも良い。