COZY922

パプリカのCOZY922のレビュー・感想・評価

パプリカ(2006年製作の映画)
3.8
極彩色の摩訶不思議な絵と、意味不明なイカれたセリフにクラクラした。原作の著者、筒井康隆の挑発的で社会や人間の狂気に迫る作風を知っていても、この映像と浮遊感を煽るような音楽には唖然としてしまう。原作者もそうだけど、この映画を作った今敏監督の頭の中って一体どうなってるんだろう?(褒め言葉)。

他人の夢の中に入る話や仮想世界を描いたものは山ほどあるけれど、不可能の無いアニメならではの強みを最大限に活かしたクレイジーな映画という意味ではかなり抜きん出てる気がする。難解で意味不明なシーンが乱発しまくりでも夢ならば何でもあり。そこには過去や未来といった時間の前後関係も無ければ、物の大小や距離の遠近などの物理的空間的制約も無く、辻褄が合わなくても夢だと考えれば理解できる。

現実世界では叶わない願望が夢に投影され幾人もの夢が交差する。やがて現実との境界が崩れ、夢が現実を侵食していく。その奇妙な世界観が良かった。出られない夢はラビリンスと言うべきかも。おもしろかったけど、これは好き嫌いが分かれるだろうなぁ。
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