Nike Air Jordan 4 Retro White Cement (バギンアウトが着用)
Nike Air Trainer 3 PRM Medicine Ball Bo Jackson (ムーキーが着用)
Nike Air Revolution OG White Red (ラジオ・ラヒームが着用)
バギンアウトのジョーダン4は、映画史において最も有名なスニーカーのひとつ。というか、映画でスニーカーといえばスパイク・リー、映画でヒップホップ・ファッションといえばスパイク・リー作品なのだ。衣装デザイナーのルース・E・カーター(Netflixの特集ドキュメンタリーは必見)はその後『ブラックパンサー』シリーズでオスカーを手にしているし、ニューエラのカスタム・キャップのオーダーが出来たのもスパイク・リーの功績。ヒップホップ史に残る名曲、パブリック・エネミーの“Fight The Power”はこの映画の主題歌だ。映画史、音楽史、ファッション史…全てにおいて、この作品は偉大なのだ。
肝心のスニーカーに関してだが、最も有名なシーンは比較的序盤、34分あたりから始まる。若き日のジャンカルロ・エスポジート(今となっては冷徹な悪役が板に付いている名バイプレイヤーだが…)演じるバギンアウトは、新品ピカピカ、ラスタ・カラーのシューレースでカスタマイズした超・超・超大事なジョーダン4のアッパーを、通りすがりの白人サイクリストにぶつかった拍子に汚してしまう。ブチギレて大勢で取り囲んで因縁をつけまくるシーンはどこか牧歌的で、キャラクターのひとりひとりが愛おしいが、アフリカ系やラテン系の貧困層が暮らすブルックリンにおけるジェントリフィケーションの問題を分かりやすく表したシーンでもある。当の白人サイクリストは階段の上から通りを見下ろし、バギンアウトらは彼を悔しそうに見上げている。こういった、さりげない演出や地に足のついたキャラ造形で、複雑な差別問題を浮き彫りにするのがこの映画で、スパイク・リーの映画だ。
衣装デザイン:Ruth E Carter
登場・コラボ:どちらも