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ドゥ・ザ・ライト・シングのOBL1VIATEのレビュー・感想・評価

ドゥ・ザ・ライト・シング(1989年製作の映画)
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初スパイク・リー。
若者が作った映画特有の、熱気溢れる低予算感が良かった。町のほんの一区画という狭い舞台で、それぞれのキャラクターに固定された場所とパターン化された言動が割り当てられているあたりは、シリーズ物のコメディや幼児向けアニメ感がある。その厳格なパターンの中で、唯一自由に、予測不可能に動き回るのが、主人公のムーキー(演:スパイク・リー)だ。
物語はキング牧師的な非暴力の対話と、マルコムX的な暴力による革命の肯定という、対極的な思想の二項対立を匂わせる形で進行する(実際エンドクレジットで二人の象徴的な引用が映される)。
しかし、登場人物の中で唯一何のロジックもイデオロギーも持たないムーキーに俄かに怒りの火が点いたとき、彼はこの二項対立を簡単にぶち壊し、全員をカオスへと導いてしまうのだ。

最近、『ブーメラン』や『ビッグ・ママ』といった製作・出演をアフリカ系で固めた映画を観ることが多くてこれもその一つなのだが、その全てにマーティン・ローレンスが出ている。本作は彼の映画初出演作品らしい。
他にもサミュエル・L・ジャクソンやダニー・アイエロ(レオンに出てくるイタリアン店主役)など、見知った俳優がたくさん出ていて楽しい。
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