頭空っぽの状態で観た。でも多分空っぽの状態で見ても大丈夫。山田達雄×嵐寛寿郎は大塩平八郎の乱をベースにした『風雲天満動乱』や伊達騒動をベースにした『危し！伊達六十ニ万石』で触れてきたけど、それとは一転。
『鍔鳴り三剣豪』は重厚的な雰囲気は感じられなかったが、チャンバラに次ぐチャンバラを楽しむ完全に娯楽映画だ。
チャンバラいっぱいで私幸せ。

だってオープニングが終わったと思ったらチャンバラが始まる大盤振る舞いっぷりですよ。それに三剣豪と名を打ってるけど若殿様もそこそこ実力あるね？？？

物語自体は宇都宮藩を狙う謎の黒覆面軍団に宇都宮藩に仕える剣客かつ俺達のアラカンが奮闘する話だ。でも本作の魅力はそこじゃない。
本作の真の魅力は三人目の剣豪こと左近(演:坂東好太郎)にこそあると思う。左近は不思議なキャラクターだ。序盤こそ金で雇わられて敵側にいるけど、どこか敵側にしても煮えきらない。
そして中盤の方で明らかに彼の存在から物語の歯車は狂い出し、ただの謎の黒覆面軍団vsアラカンの物語は終局を迎えていく。
物語こそ秀逸と呼べるものではないけど、それでも左近は魅力的だ。
２つの勢力の間を行き交う黒澤明の『用心棒』の桑畑三十郎とはまた違った魅力がある。

チャンバラシーンはとにかく強い！アラカンが強いので、嵐寛寿郎のファンの私としては満足だ。でもチャンバラ大多数vsよりも1対1の真剣勝負のほうがかっこいいね…と本作の終盤を見ながら思った。