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キトキト!のtakeのレビュー・感想・評価

キトキト!(2006年製作の映画)
4.8
この映画を観て人生が変わった。自分にとって大切な作品。

初めて観たのは中学3年生の時。あの時は、観終わってからただただ涙と鳥肌が止まらず、なぜ泣いているのか、心を揺さぶられているのか言語化できなかった。この映画をキッカケに、演技という表現に興味を持ち、演劇を始めた。そして大学4年の今(2020/3/14)再びこの作品を観てレビューし直してみる。

確かによくある展開といえばそうだし、ホストの場面も既視感あるし尺も長い。でもそれ以上に、作品の描く母子の関係性が素敵だった。

人はひとりでは決して生きられない。この作品では、それが母だったが、現実には父親だったり友人だったり自分を守って大事に思ってくれている人は沢山いることに気づかせてくれた。
離れていながらも子どもたちを愛する大竹しのぶさん演じる肝っ玉母ちゃんと、不器用ながらも母親を思いやる石田卓也君の2人の姿はさながら本当の親子のよう。

2人ともお互いに感謝してるし愛も感じてるけれど、不器用で頑固が故に一生懸命見えない「ありがとう」を伝え合おうとする。母親の「ちゃんとご飯食べてるけ?」も、息子の「ちゃんと布団でねろよ」もそう。全部それは伝わってる。
だからこそ、ラストのパソコンを開いてお母さんの想いを知る場面と洗濯物を干しながら「ありがとう」とはじめて口にできた優介の言葉にグッと来た。

美咲の消息が分からずとも成人式の振袖を居間に準備していたり、遅く帰ってきた息子の為にラーメンを作って一緒に食べたり、ひとつひとつの描写の中に、母親の子どもへの愛を感じる部分が多々ある。
大切な人は、いつ目の前から消えてしまうか分からない。だからこそ自分を大切に思ってくれている人や支え続けてくれた人には、照れくさくてもいいから口に出して感謝を伝えていきたい。
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