グッドスピード

パラダイス・ナウのグッドスピードのレビュー・感想・評価

パラダイス・ナウ(2005年製作の映画)
3.5
"俺は明日、自爆テロをするんだ。"

パレスチナ人である主人公サイードは、圧倒的に戦力が上のイスラエル軍に抵抗するために、自爆テロを命じられた。そんな彼を中心にパレスチナ問題をパレスチナ側から描いた異色作。

自爆テロをする側を主人公とした異色の戦場ドラマ。
戦場ドラマと言っても出て来る人間はみんな一般人。
そう、自爆テロと言うのは普通の一般の若者が行うものなのだ。
当然それを指示するのも軍人ではなく武装した一般人。しかも力で従わせるのではなく、神の名を持ち出して信仰心を煽り心から従わせているのがタチが悪い。
圧倒的に戦力が上のイスラエル軍に自爆で立ち向かおうとする、これが神の意思だと思い込んでいる若者達が哀しかった。
戦う事でしか自由は手に入らないと信じ込もうとする姿が、今の日本で生まれ育った自分とは圧倒的に感覚が違いすぎてカルチャーショックを受けた。
戦争映画らしい派手さはないが、普通の映画では敵側として描かれる事が多い彼らの人間ドラマに心を打たれる良作だと思う。
ラストシーンはなんとも言えない「あぁ…」と言う余韻に包まれた。
異色の戦争映画が観たい人にオススメ。