サルミアッキ食べ男

スターシップ・トゥルーパーズのサルミアッキ食べ男のレビュー・感想・評価

5.0
国威掲揚パロディ×血みどろモンスターパニック=スターシップ・トゥルーパーズ

監督にとって、この作品内に登場する人物たちは生きようが死のうがどうでもいいんじゃないか。そもそも戦争行為をすること自体に反対で、戦争に参加する人間は全員愚か者だと思っている。

でなければ、「君も軍に入って虫を殺そう!」という安っぽいプロパガンダCMをあえて随所に挿入したりはしない。
こんな馬鹿みたいなCMに踊らされて入隊し、訳もわからぬまま虫にバラバラにされて死んでゆく。そして足りなくなった兵士を補充するためにCMを流し、それに踊らされてまた入隊者がやってくる...
この死の無限連環そのものを嗤っている、に違いない。

だからヒロインだろうが仲間であろうが、アホみたいに死んでゆく。こんな戦争に自ら参加したんだから自業自得だろ、と言わんばかりに。この映画で描かれるのは、いずれも愚かで無様な死ばかりだ。

そして、人類も虫も、死んでは補充し、死んでは補充するという、終わりなき地獄のただなかにいることを最後のプロパガンダCMで示し、オープニングのCMにループする。

ジョニー・リコが死んでも、また次のジョニー・リコを補充するだけだ。

国威掲揚パロディのせいで、戦争肯定映画と思われそうだが、これは歴とした反戦映画だ。

だって、これを見て戦争に参加したいと思う人間はいないだろう。