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長い散歩のhoyoのレビュー・感想・評価

長い散歩(2006年製作の映画)
4.2
妻を亡くした男と、虐待・育児放棄され大人や周りの人間すべてへの信頼をなくした少女の物語。

ゼミで映画研究をしているんですけど、そこで先生が貸してくれた映画。
とても辛く切ない物語だから体調が万全の時に見てねと言われ、万全な時に見たものの無理辛すぎた。

安田松太郎演じる緒形拳さんは、とてもいい役者さんだと思う。
頑固親父のような印象が強いけど、こんなにも繊細に優しさのある人物を演じる姿に感銘を受けた。
安田松太郎自身、妻がアル中でおかしくなった記憶や娘からの視線に耐えた記憶など、様々な苦しい経験を少女の辛さと共有し、緩和していくかのようにストーリーが進んでいく。

そして突如現れた謎の男性。ワタル。
彼の優しさの中にある自分との葛藤が、見ていても苦しくなった。
若者の死は突然でとても脆い。
どうして、なぜ、なんのために。と、沢山の悲しみが沸いた。

しかしここで松田翔太が来るとは_(:3 」∠)_
若くてとてもかっこよかった_(:3 」∠)_

なんかこう、
ハッピーエンドで終わるのかなーって思ってた。
でも実際には出所した安田松太郎が目の前に見たサチの幻。
さっちゃんはあの後どうなったのか気になった。

全体を通して思ったことは
虐待や育児放棄が起こる原因として、家庭内環境が大幅を占めるだろう。
母親の暴力、両親の関係、自分たちの時間が必要だから子どもは外へ。
典型的な育児放棄が題材にされていて、“学ぶ”という面では沢山の収穫があった。
しかし、映画本来を楽しみ鑑賞するということはとても辛いものでした。
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