ともすれば、B級映画になりがちなSFホラーというジャンル。本作はそのSFホラーの中でも元祖的な作品なのだろうけど、とにかく作り方が丁寧で、とても見応えのある作品だった。
まずもって設定が素晴らしい。Xが人に襲い掛かる恐怖の生物、という前提があって、そのXは仲間に擬態して襲ってくるという展開。周囲への猜疑心も強くなるという、二重の恐怖。人間同士の対立という、心理的要素が上手く組み込まれている。
ちなみに、Xって実は熱処理すればある程度弱体化するので、本当に怖いかどうかというと微妙な気もするけど、ここに密室という設定が加わるので、恐ろしさが倍増。北極という極限の環境というのも更に良いし、オチの余韻もいい感じ。
あとはやっぱ造形の作り込み。これがとにかく秀逸で、精神的にかなり来る。グロテスクな生物の極みという感じ。しかもCGじゃないというのが驚き。
音楽がエンリオ・モリコーネってのも驚いた。恐怖心を煽る音楽も作れちゃうのは意外だった。
この作品の前日譚の方は賛否両論みたい。でも是非も観てみたい。