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美しき青春のおのレビュー・感想・評価

美しき青春(1936年製作の映画)
4.8
 フランス映画字幕付きで前提知識なしの映画館鑑賞。古い映画だからか2回フィルムが止まったアクシデントがありつつも😳
 当時の時代背景や人間関係、大学内を感じられる見応えある作品で全然古めかしくなかった。
 リケジョって言葉すら無くなってみんなが平等に学問に関われればいいのにね。

 主人公エレーヌは博士を取りたいがお金がないため、列車で出会った教授に懇願し助手として勤務することになる。教授がまたクセある人で「女に研究ができるのか」などと言いながら研究に没頭し奥さんとすれ違いの日々を送っていた。
 エレーヌが助手として勤務する場は学科必須科目だったため色んな学部から生徒が集っていた。その中の1人が後に恋人になるピアノ好きな医学部生ピエール。この男がまた太宰治臭が最初から強い人で不幸なオーラがめちゃくちゃ出てた。音楽家として生きたいけれど、病気の父親の願いである田舎の医者を目指さなければならない狭間で思い悩んでいた。

 ピエールとエレーヌは作中で結ばれて妊娠するが、エレーヌは進路で思い悩むピエールに妊娠を伝えられないでいた。その間に2人で山荘に行った夜ピエールは自殺してしまう(やっぱり太宰治感)警察がエレーヌを怪しむ中、教授はエレーヌの嫌疑を晴らすために現れたのだった。

 この作品を見て思ったことを2点挙げる。
 1点目は、嫌疑が晴れたエレーヌが教授に対して「ピエールの成績をもう少し甘く見てやってもよかったんじゃないか。教授は人の苦しみなんてわからないのね」と伝えた場面である。その時に教授が「他人が人の苦しみを判断してはいけない」みたいなことを台詞として言っていた。
 個人的には名言だと思っていて。(台詞ちゃんと覚えてないけど笑)言葉の意味はもちろん真実だと思うし、奥さんに浮気された教授の描写があったからこそより現実味があって良かった。

 2点目は、最後エレーヌと教授がどんな関係性になったのか、という点である。結論から言うと私は恋人関係になったのではないか?と感じた。
私も途中までは、お互い大事な人をなくしたから研究者同士としてこれからも支え合っていこう!って展開で終わると思っていましたが…
 最後の場面を思い出すと、教授がエレーヌの肩に手を置き、エレーヌが頬を寄せるシーンがあった。これは伏線として前の場面にて『教授が奥さんの肩に手を乗せようとしたけど触れられず奥さんの激昂を買った』流れがあった。これを伏線と考えるなら、肩に手を置いた教授とそれを受け入れたエレーヌが今後恋人関係になることを暗示しているとも考えられると思った。

 この時代に制作されて作品として単純に面白かったし(何回見てもおもろいってなりそう)、何より時代の価値観を写したような教授との対比で女子大学生が学問ができる主人公として扱われていた所が前衛的でよかった。ちょいちょい笑える場面も多い。友達とみても良いかも〜。
 今も社会課題として扱われている若年層の望まない妊娠に対しても一石を投じていることを考えると後世にも残していきたい作品だなぁと思いました!高評価!!


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