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エル・スールの動物のレビュー・感想・評価

エル・スール(1982年製作の映画)
5.0

「切ない」とか「ひかりとかげっっ」とか簡単に使いたくないが、光と影が美しい、切ない映画。ホント。
メロドラマである。
『ミツバチのささやき』の方が優れている、そういう向きもあるだろう。
でも光と影や、人間の情緒、特にせつなさやるせなさを端正に表現するのは至難の技。飛ばした映像とかポップな音楽だから明るいとか、人が死ぬとか泣き喚いてるから悲しいとか、それは表現とはいえない。ストーリーがメロドラマだからダメ、というのもがさつな話だ。フェルメールのような室内、浮かび上がる夜のカフェの店内、白茶けた昼間のレストラン。自転車、ブランコ、風見鶏。それらは皆、メロドラマであるストーリーの説明のためのものではない。
監督は観客を泣かせたいのではない。説明的な言葉はなくとも、情緒や光と影というものを「そうか!」と静かに、でもダイレクトに伝えたいのだ。サリバン女史がヘレン・ケラーに「Water」を教えたように。
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