きえ

ブロードウェイ♪ブロードウェイ コーラスラインにかける夢のきえのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

16年ぶりブロードウェイで再演される『コーラスライン』のオーディションの模様を8ヶ月に渡り追い続けたドキュメンタリー。
もともと『コーラスライン』はブロードウェイのバックステージもので、オーディションを受け続けるダンサーたち自身の挫折や悩みを赤裸々に告白していく内容なのだが
『コーラスライン』のオーディションに臨むダンサーたちも同じで、受かりたいと思い、仕事が欲しい、踊りたいと願う。
そんなダンサーたちを観ているうちにこのドキュメンタリーと『コーラスライン』という物語がオーバーラップしてしまう。
どんなにキャリアがあってもオーディションに受からなければ、舞台には立てない現実。
シーラ役のオーディションを受けていたラシェール・ラックはかなりのキャリアで、もうほとんど合格も同じだったのに最後の最後で落とされてまう。
「8ヶ月前に演じたようにやってくれ」と演出家に言われるが、ラシェールは自分がどうシーラを演じたか覚えていなかったのだ。厳しいな〜
私が愛してやまない『FOSSE』でのラシェールはパワフルでセクシーなダンスを披露して素晴らしかったのに!何度繰り返し観たことか。
一方でオーディションで競い合う者もいれば「君しかいない」と思わす人物もいる。
ポールという役柄はゲイで、レビューショーに出演していた時、訪ねてきた両親に女装姿を見られてしまう。
その時の様子を告白するシーンをオーディションで演じるのだが、その時のジェイソン・タムの演技が素晴らしい。
もう演技なのか、ジェイソン自身の体験談なのか分からなくなってしまうくらい引き込まれてしまうのだ。
舞台の上でなく、衣装も付けず、ただオーディションなのにその演技に圧倒されてしまう。
審査員も涙する始末で、早々と全員一致でポール役が決まってしまう。
このジェイソンのオーディションシーンは何度観ても素晴らしいし涙が出てしまう。
とにかく出てくるダンサーは自分の夢や仕事のために人生を賭けてオーディションに挑んでいく。
誰もが真剣勝負で甘えや妥協が一切ない。そして厳しい現実に立ち向かっていくタフな精神力。
一見華やかに見えるダンサーという職業の現実を垣間見ると、すべてのダンサーを尊敬せずにはいられない。
きえ

きえ