ドータクン

白昼の決闘のドータクンのレビュー・感想・評価

白昼の決闘(1946年製作の映画)
3.3
講義にて鑑賞


鉄道建設という時代背景が西部開拓の終幕を感じさせる。古典的な西部の男性像を象徴する「馬」。四方八方から馬が集うシーン。砂塵が舞う。この荒々しさは何処か上品な鉄道会社の人間たちと対比される。乱れぬ隊列や馬の数、その規模がそのまま強さを表している。だからこそテキサス州側の馬が来た時に、父親側の馬が乱れたのは彼らが勢力的に負けていることを観客にはっきりと示していた。前回の授業でも一部視聴したが、この西部における対立を踏まえると、ラストシーンのパールとルートの死は半インディアンの女と西部男の死であり、西部開拓の終わりと近代の始まりを告げていたのだと思われる。

ラスト。頂上にいる、太陽の光に照らされる男と下部の岩陰、暗闇に溶け込むように潜む女が対照的。隠れて銃を構える女からは、岩肌を動く男をまざまざと捉えることが出来る。正に猟師と獲物のような一方的な構図だ。銃撃戦の最中、女は獲物を逃すまいと地べたを這いつくばって上へと登っていく。しかし彼女が這って登れば登るほど、私達は死に近づいていくのではないかと想像させられる。ゴツゴツと無機質な岩肌の上で最後は愛を確認し合って息絶える様子は、他の西部劇で見られる殺し合い(わかりやすい、ある意味爽やか)とは違った愛憎・歪みを感じさせられた。
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