クシーくん

ザ・ドリフターズのカモだ!!御用だ!!のクシーくんのレビュー・感想・評価

3.9
松竹のドリフターズ主演「全員集合」シリーズをこれまで何本か観てきたが、いずれもいかりや長介が加藤茶をネチネチ虐めて、最終的には立場が逆転して加藤が復讐するといった風の筋で、陰湿なイジメと暴力が延々と続くので通して観ていてウンザリした。
見所と言えば往年の名優がお遊び的に出てくることとドリフ含め現在のベテラン陣の若かりし姿を見られること、後は昭和のレトロな雰囲気を楽しめる事ぐらいで、ギャグも基本滑ってるし笑うに笑えないブラックユーモアだしで実に始末に負えない作品ばかりだった。
権利上の関係もあるだろうが、あれだけ有名なドリフターズ主演作品にも関わらずクレイジーキャッツ主演作と比べてまるで取り上げられなかったのも、こういうところに原因があったのではとすら思う。

本作と最終作のみ監督・脚本がそれまでの渡邊祐介から 瀬川昌治に変わったが、監督・脚本が変わっただけでこうも良くなるものか。前作と比べていると言うこともあるが、贔屓目に見てもドタバタ人情ドラマとして楽しく観られた。こういうドリフ映画が見たかったんだよ。

始終軽犯罪を繰り返してはしょっ引かれるチンピラの加藤茶と、それを追う万年ヒラ刑事の長さん。
長さんがお人好しなのに付け上がり、懲りずに悪事を働いては取っ捕まるカトちゃんだが、長さんの厳しさにどこか死んだ父親の面影を追うカトちゃん。偶然ヤクザの取引現場に居合わせたカトちゃんが、ヤクザのブツを持ち逃げしてしまい..,という筋。

いかりや長介と加藤茶の掛け合いも前作までと基本構図は同じながら暴力と服従、憎しみ合いの殺伐とした関係ではなく、擬似親子的な暖かみがある。

ドリフ以外では人気絶頂期のキャンディーズがチョイ役で出演しているのと、長さんの妹役の樹木希林が目を引く。この頃から大して変わってないな樹木希林。

前作を最後に荒井注がドリフを引退したため初の荒井抜きドリフ映画。個人的には荒井注は人情ドラマで光りそうなタイプに思えたので、こういう作品にこそ出て欲しかった。
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