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カトマンズの男のmikanmcsのレビュー・感想・評価

カトマンズの男(1965年製作の映画)
5.0
1965年だから、もう半世紀以上前の作品。小学校の頃テレビで観て、そのノンストップな面白さに狂喜した記憶があります。U-NEXTさん、無料配信ありがとう。

名作「リオの男」と併せ、ジャッキー・チェン、インディ・ジョーンズ、トム・クルーズなど、数々のフォロワーを生み出した偉大な作品。「リオの男」もいいけど、私はスラップスティックな味わい、シュールなギャグ、コミカルな風味がより強い本作のほうが好みです。

自殺願望のある富豪青年が、「そんなに死にたいのなら」ということで友人を受取人にした生命保険をかけられ命を狙われる、、というドタバタ・コメディ。JPBが最初から最後まで休む間もなく走る、跳ぶ、転ぶ、手足を振り回す、、、「憂鬱な主人公」というキャラもふくめ、まんまバスター・キートンやってます。JPBの演技=歩く、手を動かすなどの仕草がかなり速めなのは、往年のスラップスティック・コメディへのリスペクトでしょうか。

本作は話に緩急や余計なサイドストーリーが殆どなく「地球規模での追いかけっこ」を突き詰めている点で、後年のフォロワー作品群よりアクション純度は高いように思います。正直、アクションの規模や迫力は最近の映画のほうが凄いですが、竹で組まれた工事足場でのアクロバット始め「どっかでみたことある」アクションの原型がこれでもかというくらいに詰まっていて、あれをJPBがCGなしでやってると思うと尊敬の念が湧いてきます。これ見てるとジャッキー・チェンやトム・クルーズが「自分でアクションする」ことにこだわるの、わかるわ~。

飛行機に乗ろうとしたらタラップしかない、変装でヒゲつけたら手配書にもヒゲがついている、などのシュールなギャクもたくさん詰まってて良き。文句言いながらトランク持ってどこまでも付いてくる召使いも楽しい。紅一点、「教養あるストリッパー」役のウルスラ・アンドレスは素晴らしく美しく、白い水着が砂浜で映えるのは「ドクター・ノオ」以来の眼福でした。

タイトルは「カトマンズの男」だけど実はカトマンズのパートは短めで「香港」がメイン。半世紀前の香港の風景が興味深く、懐かしい。「タイムスリップ観光映画」としても楽しい作品です。

ノンストップ・アクション映画の歴史において、サイレント時代のスラップスティック・コメディと現代のジャッキー・チェン/インディ・ジョーンズを結ぶ重要な作品だと思います。「リオの男」も配信入らないかな~。
PS. 今見たらFilmarksのレビュー390本しかないんですね。こんな面白い映画なのにモッタイナイ!
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